「大きくなったら、なにになりたい?」という問いに、パン屋さんやケーキ屋さんと答える子どもは、今も昔も多いようです。学研教育総合研究所(https://www.gakken.jp/kyouikusouken/whitepaper/30history/chapter2/06.html)の調査によると、女の子の「将来つきたい職業」でパティシエ(ケーキ屋さん)は、2001年以降ほぼ毎年1位を維持し続けています。実際に、その職を目指した際に、動機として挙げられるのは、(自分の作ったお菓子を)食べた人が笑顔になる瞬間へのやりがい、子どもの頃に出会った特別な日の味への憧れ、そして自分の手でお菓子をかたちにすることが純粋に好き——といったものかと思います。そんなパティシエ「憧れ」。それは、キャリアとしてどう育っていくのでしょうか。
「修行」の先にあるもの
パティシエになるための一般的な道筋としてまず思い浮かぶのは、製菓の専門学校を出て、都市部の名店で経験を積み、技術を磨いた末に独立するというキャリアです。何年もの厳しい修行を経て確かな腕を身につけていく。それは今も王道であり続けています。ただ、その過程の多くは厨房の中で完結します。日々向き合う果物や野菜が、どんな土地で、誰の手によって育てられているのか。技術を磨くことに専念するなかで、「人を喜ばせたい、思い出の味に近づきたい」という最初の動機に立ち返るとき、素材そのものに出会い、向き合う機会は意外と少ないかもしれません。
産地とつながるという選択
和歌山県紀の川市は、桃、キウイ、いちじく、はっさくをはじめ多彩な果物が育つ、フルーツの産地として知られています。そして私たちは、粉河寺の門前町として歴史を持つ粉河エリアで、大正時代の旧旅館をリノベーションした複合施設「紀の川三笠館」を拠点に、農家・行政・大学・企業が連携しながら、地域の農と食をつなぐ基盤づくりを積み重ねています。今年の春には、フランスのパティシエが長期滞在し、地場の新鮮なフルーツを使ったメニューを開発してくれました。ここでは今、その「素材」が育つ現場と向き合う環境が育ちつつあります。
◾️紀の川三笠館ウェブサイト https://mikasakan.com/ja/
産地に身を置くことで得られるのは、素材との距離だけではありません。今日採れた桃が、明日にはどう熟していくのか。同じ品種でも、その年の天候によって甘みや香りがどう変わるのか。そうした変化を確かめながら、技術と感性を磨いていくことができます。素材の状態を見極める目と、それを引き出し、語れる技術がかけ合わさったとき、はじめて生まれる「おいしい」があります。産地に暮らし、旬のフルーツと日々向き合うことは、パティシエとして経験値を高めることもできるのです。
そこで一つの選択肢になるのが、地域おこし協力隊や地域活性化起業人といった制度を活用しながら紀の川で暮らし、腕を磨いていくという道です。これらは、都市部から地方に移住し、一定期間そのまちで働きながら地域の課題解決に取り組む制度。短期の研修や視察とは違い、生活そのものを通じて土地との関わりを積み重ねていける点が特徴です。

最高の素材と、ともに挑戦できる仲間に出会える紀の川。産地ならではのスピード感で、アイデアを形にできます
旬の果物がいつ、どんな表情で実るのか。規格に合わず出荷されない果物が畑にどれだけ残されているのか。そうした産地のリアルは、暮らしの中でしか見えてこないものです。農家と顔を合わせ、季節の移ろいを肌で感じながら過ごす時間は、技術書やレシピからは得られません。よそから来た一人として過ごすところから始まり、少しずつ顔の見える関係を築き、街に浸透していく人材へと変わっていく。それが、紀の川で描けるキャリアの一つのかたちです。
そんな環境の中で今動いている取り組みの一つが、「FRUITS STREET KOKAWA LAB」です。紀の川三笠館を拠点に、農家と直接つながりながら商品開発から試販売までを経験する、半年間の実践プログラムも展開しています。

自ら果物を収穫し、農家の方との交流を通じて、商品づくりの可能性を探ります
自分の店、商品を作っていく未来
技術を磨く場所であると同時に、暮らしながら関係を築き、その先に自分の店や商品を思い描いていける。それが、紀の川という土地が持つ「力」なのだと思います。子どもの頃に抱いた「パティシエになりたい」という気持ちは、多くの人にとって、いつしか記憶の中の憧れになってしまっているかもしれません。けれどその気持ちが、暮らしや産地という具体的な時間や場所と結びついたとき、キャリアとしての輪郭を持ち始める——紀の川は、そんな一歩を後押しできる場だと思っています。
まちに浸透していった先に見えてくるのは、自分の店や商品を持つという未来です。粉河の「とんまか通り」など、空き店舗を活用した出店も私たちがサポートし、物件探しや開業に向けた相談にも伴走します。暮らしの中で農家との関係を築き、地域の人たちに顔を覚えてもらいながら少しずつ商品を試していく。そうした積み重ねの先に、看板を掲げる日を思い描くことができます。
そこで今回、現地での暮らしや制度の詳細について、より具体的に知っていただく機会として、現地採用に関する会社説明会を開催します。紀の川で働く・暮らすことにご関心のある方は、ぜひお気軽にご参加ください。
【和歌山会場】
和歌山県紀の川市・粉河エリアでは、大正期の旧旅館を再生した「紀の川三笠館」を拠点に、空き家の活用や地域の農家との連携、フルーツを起点とした新たな商いやエリアの再生に2023年から取り組んでいます。
建物を再生するだけでなく、地域の人や事業者と関係を築きながら、その土地ならではの資源や魅力を見つけ、新たな事業へと育てていく仕事です。紀の川市は、全国有数の「フルーツ王国」。地域のフルーツを生かしたスイーツの開発に取り組んでいただけるパティシエも募集しています!
◾️概要
日時:2026年10月17日(土)14:00-16:00 ※受付は13:40〜
会場:コワーキングスペース BE-EN/イベントスペース
〒640-8331 和歌山市美園町5丁目6-13 2・3階
(https://maps.app.goo.gl/bBu7oX6XwYz6qrxm6)
・JR「和歌山」駅 西口より 徒歩3分(約200m)
■募集職種
・【事業企画部】フルーツで商店街を再生する「まちづくりプロデューサー」
・【グッドネイバーズ】人と地域をつなぎ、まちの賑わいを作る「施設運営」
・【新規ポジション】フルーツから、まちの賑わいを作る「パティシエ」
・【インターン/パティシエ専門学生】未来のパティシエ候補
・【オープンポジション】ご経験・ご希望を考慮して最適なポジションをご提案します
詳細・お申し込みはこちら
https://enjoyworks.jp/news/33541/