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「見えない価値」を、確かなかたちに——団地リノベの現場から見る、省エネ基準義務化のリアル

Feature Project 公開日:2026/09/15

2025年4月、建築物省エネ法の改正により、すべての新築住宅に省エネ基準への適合が義務付けられました。断熱等級4・一次エネルギー消費量等級4以上が「最低ライン」となり、2030年にはさらにZEH水準へと引き上げられる予定です。つまり、これまでは「あればうれしいオプション」だった断熱性能が、家を建てるための最低条件そのものになった、ということです。

ニュースで語られるのは主に新築の話ですが、実はこの制度の余波は、既存住宅の改修現場にも及んでいます。新築の基準が底上げされるということは、既存住宅の改修においても「そこそこの性能」では選ばれにくくなる時代が来ているということ。断熱等級4という数字は、いまやリノベーションの現場にとっても、目指すべき一つの共通言語になりつつあります。

団地という「制約だらけのキャンバス」
そこで、団地の話。国土交通省の推計によれば、国内には約200万戸の団地住居があると言われています。その多くは高度経済成長期〜昭和50年代、つまり1960〜70年代に集中して建設されています。この時代に建てられたRC(鉄筋コンクリート)造の躯体は、そもそも断熱の基準自体がまだ存在しておらず、断熱材が入っていても現在の基準とは異なっていました。しかも、外壁や共用部には手を入れられないという区分所有特有のルールがあり、性能向上の余地は「専有部の中でどう工夫するか」に限られてきます。

一見すると制約の多い古い団地。その内側には、暮らしを自由に編集できる可能性が広がっています

そこで改修(リノベ)現場で最初に検討されるのが、内窓の設置です。既存のサッシの内側にもう一枚窓を加えることで、断熱性能だけでなく防露性・遮音性も同時に底上げできる。窓は住宅の中でもっとも熱の出入りが大きい部位のひとつなので、限られた予算と工期の中では費用対効果の高い手法です。ただし、既存の窓枠の寸法や躯体の歪みは一室ごとに異なり、図面通りにはいかないことも珍しくありません。現場では採寸から施工まで、想定外の微調整が積み重なっていきます。

壁や床への断熱材の挿入も同様です。共用配管や既存の下地の状態を確認しながら、限られた壁厚の中にどれだけの断熱材を仕込めるか。デザイン性を保ちながら、間取りの可変性を犠牲にしすぎない範囲で性能を積み上げていく——このバランス感覚こそが、団地リノベならではの難しさであり、腕の見せどころでもあります。

一室ごとに異なる状態を確かめながら、内窓設置などの断熱リノベを施していきます

◾️「住み継ぐ」ために、いま必要なこと——団地と断熱リノベのはなし(公開日:2025/06/02)
https://enjoyworks.jp/times/302/

「基準を満たす」から「暮らしを支える」へ
省エネ基準の義務化によって、設計者・施工者に高度な省エネ技術と、より詳細な計算・申請業務が求められることに。既存住宅の改修現場でも同じように、断熱等級4の取得や省エネ性能表示ラベルの活用など、これまで以上に専門的な知見と手間が必要とされています。ですが、それは単に「基準をクリアするための作業」ではありません。

団地の一室に暮らす人にとって、断熱性能の向上は、夏の冷房費や冬の底冷えという日々の実感に直結する話です。制度が変わったから性能を上げるのではなく、性能を上げることで初めて、この先何十年もその部屋に「住み継ぐ」という選択が現実的になる。現場で対峙する技術や知恵の組み合わせや工夫は、遠回りに見えて、実はそこにまっすぐつながっています。

私たちが関西エリアで展開する「愛ある団地」プロジェクトも、まさにそうしたリアルな現場のひとつ。内窓や断熱材の設置によって断熱性・防露性・遮音性を底上げし、「改修等部位ラベル」の取得や断熱等級4への対応まで実現しました。既存の躯体という制約の中で、採寸のやり直しや断熱材の仕込み方を一つひとつ積み上げていった結果です。見た目のデザインを刷新するだけでなく、性能という「見えない価値」を確かなかたちにすること。それが、団地を次の世代に住み継いでいくための、地道だけれど欠かせない一歩だと考えています。

性能とデザイン性を兼ね備え、新たな住まいへと生まれ変わった「愛ある団地」の数々

制度は新築を主語に動いていきますが、既存の住まいをどう次の世代に手渡していくか。その答えを地道に探しているのは、今日も団地という住宅ストックに向き合う現場なのだと思います。

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「愛ある団地ファンド6号大阪住道」が募集中です。今回の舞台は、大阪東部の中心都市・大東市の「住道駅前住宅」です。その一室を丁寧にリノベーションし、12ヶ月での再販と想定利回り年率6%を目指します。

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