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「歩きたくなるまち」は、点をつなぐことから始まる

New Topics 公開日:2026/07/21

「ウォーカブルシティ」という言葉を、耳にしたことはあるでしょうか。近年、まちづくりの現場で急速に存在感を増しているキーワードです。直訳すれば「歩きたくなるまち」。ただの流行語として片付けてしまうには、少し気になる広がり方をしています。
実際に、国土交通省は「居心地が良く歩きたくなるまちなか」づくりを掲げ、賛同する自治体を「ウォーカブル推進都市」として募集してきました。現在、全国400以上の自治体がこれに名を連ねています。2019年には”WE DO”——Walkable(歩きたくなる)、Eyelevel(目線の高さに合わせた)、Diversity(多様性がある)、Open(開かれた)というキーワードのもと、車中心から人中心へとまちの空間を転換していく方向性が打ち出されました。道路空間の再構築や、公共空間の利活用を後押しする支援制度も整えられており、単発の実験ではなく、継続的な政策として位置づけられています。「郊外型」で発展してきた都市計画の潮流そのものが変わりつつある、と言った方が近いのかもしれません。

(参考)国土交通省ウォーカブルシティウェブサイト
https://www.mlit.go.jp/toshi/walkable/

では、なぜ「歩く」ことがそれほどまでに重視されるのでしょうか。車で移動すれば、人は目的地までまっすぐ向かい、その途中にあるものを素通りしてしまいます。郊外のロードサイドが顕著な例かもしれません。その一方で、歩くことでふと目に入った店に立ち寄ったり、知らない路地に足を伸ばしたり、思いがけない出会いが生まれます。この「回遊」と「滞在時間の伸長」こそが、地域消費の拡大や、まちに関わる人の裾野を広げることにつながっていく。国土交通省も、こうした面の取り組みが地域消費・投資の拡大にも波及すると位置づけています。歩くことは、単なる移動手段の話ではなく、人とまちの関係そのものを編み直すことなのかもしれません。

点が増えた先にあるものー和歌山・紀の川での実践

一方で、私たちがエリアリノベーションの現場で見てきたのは、少し違う順番の話です。空き店舗や遊休不動産を、政策やキーワードから逆算して再生するのではなく、ひとつ、またひとつと手を動かしながら再生していく。すると、ある時点で点と点がつながり始め、人がその間を歩いて行き来するようになる。回遊性は、目指してつくるものというより、点が増えた結果として、後からついてくるものなのかもしれません。そして、その先にようやく立ち上がってくるものこそ——「歩きたくなるまち」なのだと思います。

粉河駅から1,300年の歴史のある粉河寺まで続く「とんまか通り」は近年シャターが目立ち閑散とした印象でした

和歌山県紀の川市・粉河エリアで続けてきた取り組みも、そうした積み重ねの延長線上にあります。このエリアは、西国三十三所の第三番札所・粉河寺の門前町として栄えてきた歴史あるまちです。私たちは、大正期の旧旅館をリノベーションした複合施設「紀の川三笠館」を拠点に、フルーツをテーマにしたマルシェを定期開催し、無人駅の粉河駅から粉河寺へと続く「とんまか通り」の空き店舗再生にも取り組んでいるところ。紀の川三笠館という宿泊・体験のハブ、マルシェという人が集まる場、そして再生途上の商店街——これらの点が、粉河寺という目的地に向かう道すがらに点在することで、少しずつ「歩いて巡りたくなる」まちの輪郭ができつつあります。

マルシェや特産フルーツを使ったメニュー開発など、とんまか通り活性化のハブとなりつつある「紀の川三笠館」

この夏からスタートする「FRUITS STREET KOKAWA LAB」も、その回遊性をさらに具体化する試みです。全国から集まるフードチャレンジャーと、地元で小商いを始めたい人たちが、農家との交流やフルーツの試食・品種比較を経て、まちあるきと空き店舗見学、実験出店の設計へと進んでいく全6回のプログラム。最終回では、とんまか通りの空き店舗や三笠館・Fruitsマルシェを舞台にポップアップ出店を行い、実際の来訪者の反応を確かめます。歩いて出会う人、歩いて見つかる商機——粉河という「歩きたくなるまち」の実験に、参加してみませんか。

◾️8月スタート!「FRUITS STREET KOKAWA LAB」
https://mikasakan.com/ja/fluits-lab/

収穫からメニュー開発、販売まで。日本有数のフルーツ産地・紀の川市で実践するプログラム

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