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廃校の「その先」へ——富山県射水から始まる、ミライを育てる挑戦

New Topics 公開日:2026/07/07

「廃校」という言葉には少し、灰色がかったイメージがあるかもしれません。子どもたちの声が消えた寂しい場所。建物の規模が大きいだけに、そこに「人」がいないことの寂寥感を抱くでしょう。それでも、人口減などによる統廃合など、学校数自体が減っている事実は変わりません。文部科学省の調査によれば、全国で廃校となった公立学校は、この30年で1万校を超えています。地方の小さなまちだけでなく、都市部でも、かつて地域の中心だった学校が静かに姿を消していく光景が、珍しくなくなりつつあります。

それでも、廃校には独特のポテンシャルがあります。広い敷地、体育館、校庭、教室——それだけの「器」が、まちの中心部に残っていることは、冷静に考えれば稀有なこと。しかも、その場所はかつて子どもたちが通い、地域の行事が行われ、世代を超えて記憶に刻まれてきた場所でもあります。ただ古くなったビルとは異なる、地域の「シンボル性」を持っています。

さて、廃校の「その先」には何があるのか?学校の建物を含めた跡地利活用には、単なる施設の再利用を超えた可能性があります。人が集まる理由をつくり、地域の内と外をつなぐ拠点として、あらたな息吹を吹き込めるかどうか——それが問われているといえそうです。カフェや宿泊施設、シェアオフィス、マルシェ——それぞれの地域の個性を活かした活用事例は全国各地で生まれています。そのなかで、富山県射水市でも新たなプロジェクトがスタートしようとしています。

旧放生津小学校、「ミライを育てる学校」
富山県射水市の放生津(ほうじょうづ)地区にあるのが、旧放生津小学校です。創立150年超の歴史があり、現在の校舎自体は1989年に竣工、2024年に閉校となったこの学校の跡地をどう活かすか、射水市は公募型プロポーザルによって民間の事業パートナーを選定しました。優先交渉権者に選ばれたのは、博報堂を代表事業者とする6者のコンソーシアム。その構成企業のひとつが私たちエンジョイワークスです。

旧放生津小学校跡地施設利活用事業(射水市ウェブサイト)
https://www.city.imizu.toyama.jp/event-topics/svtopidtl.aspx?servno=30464

今年初めに行った現地視察の様子。建築の意匠も特徴的。この空間・場所・佇まい・歴史背景…を最大限に使おうと構成企業が知恵を凝らしています

私たちにとって、これは新しいかたちの挑戦です。これまで、紀の川市や横須賀市をはじめ、各地で地域と向き合い、時間をかけて関係を育て、まちの変化を一緒につくってきました。その積み重ねのなかで磨かれてきたのが、「地域の人と共に育てる」という姿勢です。今回のプロジェクトでは、その姿勢を、異なる専門性を持つ5社のパートナーとともに持ち寄ります。広告・コミュニケーションの知見、建築設計の力、地域に根ざした運営の実績、地域を巻き込んだ資金調達——それぞれの強みが重なり合うことで、ひとつの組織だけでは描けなかった未来が、放生津に生まれようとしています。

このコンソーシアムが掲げる事業コンセプトは、「ミライを育てる学校」。旧学校の場を活かして、次の世代のための場所として生まれ変わらせようという、前向きな宣言です。構想では、食堂、食育ラボ、まちのラウンジ、コワーキングスペース、民泊・合宿、まちライブラリー——そんな機能を盛り込んでいます。どれも、地域の日常に寄り添いながら、外からの人を受け入れる「入口」となるもの。コンセプト資料には「子ども、大人、シニア、地域の企業、そして街の外の人もが立場を超えて、みんなが関わり、つながり、学び、一緒にチャレンジできる場になります」という言葉が記されています。

選定委員会の評価においても、「地域の特色を活かす工夫や多様な主体との連携についても具体性のある提案だった」と評されており、エリア全体の活性化への期待が込められた選定となりました。「まず人が育ち、それから、街が育つ」——提案資料に記されたこの言葉が、このプロジェクトの核心。施設を「完成させること」をゴールにするのではなく、使いながら考え、段階的に成長させていく。そのプロセスそのものが、地域の関わりを生み、放生津というまちの新しい物語を紡いでいくことになるのでしょう。廃校の「その先」には、喪失ではなく、可能性がある。さまざまな力が交わるこの場所で、エンジョイワークスはその可能性を共に育てるパートナーとして、放生津の未来に向き合っていきます。

◾️現地でプレイベントが開催されます!
https://www.city.imizu.toyama.jp/event-topics/svtopidtl.aspx?servno=32923
校舎内を巡るフィールドワークも。「ミライを育てる学校」として生まれ変わる旧放生津小学校で、「やってみたい!」を語り合うワークショップも実施予定。

◾️エンジョイワークスでは、全国の廃校へ視察に行っています。
(メールマガジン過去記事)毎年450校が「消える」!? 廃校を未来へつなぐ方法を学ぶ(2026/3/3付)
https://enjoyworks.jp/times/271/

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