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制度は手段。地域に根を張る官民連携を支えるために——PPPパートナーとしての役割とは

自治体共創 公開日:2026/06/16

人口が減り、財政が縮み、公共施設が老朽化していく。この三重苦とも言える構造的な課題に、いま全国の自治体が直面しています。かつてのように「行政がすべてを整備し、維持し、運営する」というモデルは、多くの地域ですでに限界を迎えつつあります。

そこで広がってきたのが、PPP(Public Private Partnership:公民・官民連携)という考え方です。施設の整備や運営に民間の資金やノウハウを取り込み、行政コストを抑えながら地域サービスの質を維持・向上させる仕組みです。単なるコスト削減策ではなく、民間の創意工夫によって行政だけでは生み出せない価値を地域に届けることができる。そう捉える自治体が増えています。

一方で、そうは言っても官民連携で事業を動かすのは容易ではありません。どんな手法があるのか、資金をどのように集めるのか、住民の合意をどう形成するのか。制度の知識だけでなく、現場での実践経験がなければ、絵に描いた餅で終わってしまいます。そこで国土交通省は、PPPやPFI(Private Finance Initiative:民間資金等活用事業)の知識と実績を持つ民間事業者を「PPPパートナー」として認定し、地方公共団体や地域企業が抱える具体的な悩みに直接応える仕組みを設けています。

認定されたパートナー企業には、地方公共団体の担当者や地域の事業者から相談が届きます。「遊休化した公共施設の活用には、どんな手法が考えられるか?」「公的不動産に活用でできる資金調達の方法は?」「住民を巻き込んだ事業の組み立て方は?」——そうした問いに、実践の経験から答える。それがこの制度の核心です。国土交通省からは、活動の広報支援や関連情報の提供、主催セミナーへの講師派遣機会の提供など、活動を後押しする環境も整えられています。PPPに関する自治体と企業の「橋渡しを行う仕組み」とも言えるでしょう。

このPPPパートナー制度は毎年度の公募によるもので、今年度の認定企業はデータベース・セミナー・金融機関・個別相談の4種別あわせて79社(延べ86社)。エンジョイワークスはその中の「個別相談パートナー」として、2019年から7年連続で認定を受けています。これは毎年度、実績と取り組み内容を申請し、審査を経て認定されるものです。私たちが地域ごとに異なるPPPのあり方に挑戦し、継続して現場を積み上げてきた結果だと考えています。

国土交通省リリース(5/28付)
https://www.mlit.go.jp/report/press/sogo21_hh_000305.html

今年度の新規認定企業を見ると、大手ゼネコンやハウスメーカーのほか、鉄道・インフラ系企業、イベント・MICE領域の企業、地域密着型の事業者まで、幅広い業種が新たに加わっています。官民連携の対象が大型インフラ整備にとどまらず、「小さな公共施設の利活用」「地域コミュニティの運営」「多様な資金調達の設計」へと広がっていることの表れではないでしょうか。私たちが長年取り組んできた領域への関心が、制度の中でも高まってきている。そんな手応えを感じています。

協定パートナーの位置付け図(エンジョイワークス作成)

現場を動かせる人材が、官民連携の鍵になる
こうした官民連携を実際に前へ進めるうえで欠かせないのが、「人」の存在です。自治体の職員がどれだけ課題意識を持っていても、外部の専門知識や実践ノウハウがなければ、その地域の具体的な事業に落とし込むのは難しい。そこに対応できるのが、総務省が2015年から設けている「地域力創造アドバイザー制度(地域人材ネット)」です。

これは、地域資源の活用や活性化に精通した民間の専門家を、自治体が外部アドバイザーとして活用できる仕組みで、現在全国で約600人が登録しています。認定には自治体からの推薦に加えて、地域への関わり方や実績などの「実践知」も、申請の際に必要です。エンジョイワークスには現在、この制度の認定を受けたアドバイザーが2名います。1社から2名が登録されているケースは、全国でも珍しいとのことです。

◾️エンジョイワークスの「地域力創造アドバイザー」へのインタビュー(2025/4/1付公開記事)
https://enjoyworks.jp/times/163/

私たちは、国土交通省のPPPパートナーとして「施設・不動産・資金」の面から官民連携を支援しながら、総務省の地域力創造アドバイザーとして「人・組織・地域経営」の面から自治体に伴走しています。この二つの視点が重なることで、私たちが提供できる支援の解像度はさらに高まります。制度の使い方を伝えるだけでなく、その地域固有の課題や文脈に合わせて、事業そのものを一緒に形にしていくことができる。それがエンジョイワークスの官民連携へのスタンスです。

官民連携の取り組みで視察の多い、横須賀市の「月見台住宅」の例。官民の「巻き込み方」の手法がエンジョイワークスらしさのひとつ

制度はあくまで手段。大切なのは、その地域に関わる人たちが課題を「じぶんごと」として引き受けられるかどうかです。私たちが相談に応じられるのは、現場に関わり続けているから。その現場は、制度や行政の文脈だけでなく、投資家や住民、地域のプレイヤーたちとともにつくってきたものでもあります。官民連携が「仕組み」で終わらず、地域に根を張った営みになっていくために。私たちはこれからもこの役割を担いながら、現場とともに実践を深めていきたいと思っています。

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