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遊休不動産活用で、“ひと起点”のまちづくり——生駒・真鶴・月見台の実践を学ぶ連続セミナー

New Topics 公開日:2026/08/18

「サウンディング調査を実施しても、公募をかけても、手を挙げてくれる事業者が現れない」——多くの自治体のまちづくり担当者から、こうした声を耳にします。空き家、空き店舗、廃校、公営住宅。地域には、活用を待つ遊休不動産が数多く眠っています。にもかかわらず、いざ担い手を探そうとすると、応募がゼロだったり、あっても提案の実現性や継続性に不確定な要素があったり。仮に事業者が決まったとしても、その施設単体の再生にとどまり、エリア全体の活性化にはつながっているのか…そんなもどかしさを抱えている自治体は、決して少なくないはずです。

その背景には、庁内のリソースの限界という現実があります。担当職員は数年で異動し、専門的なノウハウは蓄積されにくい。予算にも制約があり、議会承認というプロセスのハードルの高さも。さらに、民間の事業感覚やマーケットの動きを常にキャッチアップし続けることは簡単ではありません。自治体だけで遊休不動産を核としたまちづくりのすべてを完結させようとすると、どこかで手詰まりを迎えてしまう——それは、担当者個人の努力や熱意の問題ではなく、構造的な限界と言えるでしょう。

だからこそ、近年、民間の知恵やアイデア、そして行動力を掛け合わせた官民連携の在り方が注目されています。行政だけでは踏み出しにくい一歩を、民間の柔軟な発想と実行力が後押しする。逆に、民間だけでは得られない信頼や公共性を、自治体が支える。それぞれの強みを持ち寄る官民連携こそが、遊休不動産を「点」の再生から「面」のまちづくりへと押し広げていく、確かな手がかりになるはずです。

官民連携による遊休不動産活用の事例を視察する様子

エンジョイワークスはこれまで、神奈川県鎌倉市・横須賀市を起点に、和歌山県紀の川市、富山県射水市など、全国各地で数多くの官民連携によるエリアリノベーション・遊休不動産活用、プレイヤー創出に取り組んできました。うまくいったこと、思うようにいかず立ち止まったこと——その積み重ねのなかで見えてきたのは、「建物・土地の活用」だけでは地域は動かない、ということです。大切なのは、その場所に関わる人を増やし、事業を育て、支える関係者を広げていく「ひと起点」のプロセスをどう設計するか。今回は、そうして培ってきたノウハウを、自治体職員の皆さまと分かち合う場として、全3回の連続セミナーを企画しました。

育ちながら進んでいる、ふたつの現場
第1回でお話しするのは、奈良県生駒市と神奈川県真鶴町。それぞれ今なお現在進行形で関わり続けているプロジェクトです。生駒市では、まちなかの空き家・空き店舗を舞台に、ローカルビジネスを志す人たちを育成する「事業者育成型公募」を昨年度から展開しています。最初から順風満帆だったわけではなく、物件のオーナーとの調整、事業として成立させるための収支設計、そして「本当にこの場所でやっていけるのか」という起業希望者自身の迷いに向き合いながら、一件、また一件と実績を積み重ねてきた道のりです。関わるなかで見えてきたのは、公募という一時的な入口だけでなく、事業者が育っていく時間そのものを、自治体と一緒にどう支えていくかという問いでした。

真鶴町では、町営民族資料館として活用していた旧邸宅(公的遊休不動産)を題材に、地域と事業者をつなぐ「町民ディベロッパー」という仕組みづくりを進めています。小さなまちだからこそ、担い手の数は限られ、ひとつのプロジェクトを進めるにも、町の担当者と何度も対話を重ね、役割分担や進め方を都度すり合わせていく必要がありました。時間をかけて信頼関係を築きながら、行政と民間、それぞれができることの輪郭を探ってきたプロセスそのものが、真鶴町らしいまちづくりの型になりつつあります。規模も課題も異なるふたつの事例の、今まさに動いている現場から、公募の設計段階からいかに「担い手」を育てていくか、そのリアルな進め方を「ヒント」にしてもらえると嬉しいです。

ワークショップや事業者育成型公募を通じて、地域の新たな担い手を育成

住民ゼロの団地が、なりわいの場に変わるまで
そして、第2回・第3回の事例舞台となる横須賀市の旧市営田浦月見台住宅は、高齢化や建物の老朽化により廃止された公営住宅です。ここで進めてきたのが、「職住一体のなりわい住宅」として再生する、スモールコンセッションの取り組み。空き住戸を一戸ずつ、暮らしと商いを両立させたい入居希望者に貸し出していく手法は、大規模な一括改修とは異なり、着手のハードルを下げられる一方、事業者選定やファイナンスの組み立てを丁寧に設計していく必要があります。それらのプロセスや「官民」の役割分担と現在地もお伝えしていきます。また、「リアルな現場」を見ていただくため、月見台住宅を実際に歩く現地見学会も企画しました。住民ゼロだった平屋団地に、新しい居住者や事業者がひとり、またひとりと生まれている今の様子を、現場の空気とともに体感いただきます。資料や説明だけでは伝わりきらない、なりわい住宅としての手触りを、ぜひ現地でご確認ください。

多様な「なりわい」を営む入居者が集う月見台住宅は、入居率100%を達成。昨年10月の月見祭には約1,500人が来場した

これら3つの現場に共通しているのは、最初から正解があったわけではないということです。物件のオーナーと、担い手候補と、自治体の担当者と——ひとつずつ対話を重ね、時には計画を描き直しながら、それでも一歩ずつ前に進んできました。お伝えしたいのは、整った成功事例というより、その積み重ねのなかで私たち自身が掴んできた、生きた知見です。同じように模索を続けている自治体の皆さまと、それらを分かち合えたらと考えています。

■プログラム概要
第1回:8月25日(火)14:30〜15:30 事業者育成型公募導入説明会——生駒・真鶴町の事例から
第2回:8月31日(月)14:30〜15:30 月見台住宅再生に学ぶスモールコンセッション実践講座
第3回:10月初旬 月見台住宅 現地見学会(JR田浦駅集合・解散)※詳細は決まり次第ご案内します

■スピーカー(予定)
彼末茂樹(株式会社エンジョイワークス 事業企画部 マネージャー/総務省 地域力創造アドバイザー)

■主催
株式会社エンジョイワークス

お申し込みはこちらから

各回とも参加無料、1回のみのご参加も可能です。第1・2回はオンライン、第3回は横須賀市での現地開催(現地までの交通費は自己負担)となります。各回終了後には、希望者のみ30分程度の個別相談・追加質疑の時間も設けています。

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