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地元企業が伴走!だからおもしろい。三島「みしますきー」にみる、まちづくりプレイヤー育成のこれから

Feature Project 公開日:2026/07/14

空き家や空き店舗の活用が全国的な課題となる中、多くの自治体から聞こえてくるのが「物件はあっても、それを活かす事業者が育たない」という悩みです。アイデアや意欲を持つ人はいても、事業性の見立て方が分からない、地域とのつながりが少ない——そうした不安から、一歩を踏み出せずにいるケースは少なくありません。行政としても、空き物件のリストを整えることはできても、そこに「誰が」「どんな思い」で入るのかまでは描ききれません。ハードとしての場と、ソフトとしての人材とを、どう結びつけるかが各地で共通の課題になっています。

私たちエンジョイワークスは、こうした課題に応えるため、自治体とタッグを組んで「物件を活用して挑戦したい」という事業者を公募し、育てながら開業まで伴走する「事業者育成型公募」を全国各地で展開してきました。研修やメンタリングを通じて事業計画をブラッシュアップし、地域の中に新しい担い手を根付かせていく——。ただ、この仕組みの担い手は、必ずしも自治体である必要はありません。地域に根を張り、まちの将来を自分事として考える企業であれば、同じ役割を担うことができるはずです。

その実践例が、静岡県三島市で展開されている「みしますきー(三島まちなかチャレンジプログラム)」です。主体となっているのは、市内で創業約80年、建設事業を核にまちづくりへと領域を広げてきた加和太建設株式会社。同社は「まちなか事業」の部署を中心に、三島駅・三島広小路駅・三嶋大社を結ぶエリアで、空き店舗のリノベーションやテナント誘致、創業支援に自ら取り組んできました。エンジョイワークスは2023年に事業者育成型公募のノウハウを”企業版”として持ち込むかたちで、この部署と「みしますきー」を立ち上げました。自治体ではなく地元企業自身が、まちなかで挑戦する人を公募し、育て、開業を後押しする——そんな座組みを実際に動かしています。

プログラムの実際の対象物件(一部)。地元事業者だからこその物件情報など、自治体主体の空き店舗施策とはまた違った機動力を発揮

始動から4年目。みしますきーはすでに複数の”卒業生”を輩出しています。ジェンダーフリーサロン「GISELLE」、自然派美容室「ヘナサロン つきひ」、独立系書店「ジンジャーブックスカフェ」、カフェインレス専門店「日常」、髪飾り専門店「花十色」——空き物件だった場所に、次々と新しい灯りがともってきました。エントリーした事業者は書類選考・面談を経て1次選考に進み、最終選考ではプレゼンテーションによって事業化への道筋を固めていきます。今年3月には第3回の最終発表会が開かれ、5組が事業アイデアを発表。審査員が選ぶ「みしますきー賞」に加え、来場した地域住民が”まちの審査員”として選ぶ「まちの住民賞」も設けられ、挑戦する人だけでなく応援する人も主役になる場として定着しつつあります。

空き店舗ツアーや先輩たちのお店の訪問、メンタリング、お試し出店の場となるマルシェへの参加といったプログラムを経て最終審査会という流れ。写真右下は加和太建設のみしますきー運営事務局スタッフ

この歩みを支えてきたのは、加和太建設とエンジョイワークスの二社だけではありません。地元の三島信用金庫や商工会議所、すでに三島で開業した先輩事業者、建築士やまちづくりの専門家たちが、それぞれの立場からメンター・サポーターとして関わり続けてきました。「事業性の判断がわからない」「地域のネットワークが少ない」といった、挑戦する人がぶつかりがちな壁を、一社だけでなく複数の担い手で分担しながら埋めていく体制です。それを私たちは「伴走支援」と言っているのですが、単なるアドバイスでは終わらない、共創の仲間づくりの場でもあるのです。

応援する人が増えるほど、まちは強くなる
「何か始めたい」という小さな思いを、地域の中の複数の手で育てていく——その積み重ねが、4年目を迎えたいま、地元の事業者である加和太建設自身が主体となって仕組みを動かし続けられる状態、つまり”自走”へとつながっています。加和太建設がこうした取り組みに力を注ぐ背景には、「まちづくりを行政だけに委ねる時代ではない」という社会全体の意識の変化があるのかもしれません。人材や財政に限りがある地方自治体にとって、まちづくりへの投資はどうしても後回しになりがち。だからこそ、地域に根を張る企業自らが次の担い手を育てていく必要がある——みしますきーの実践はそれを体現したものなのです。同社が掲げる「世界が注目する元気なまちをつくる」という目標も、単に施設や物件をつくることではなく、そこで挑戦する人自体を増やしていくという発想につながっているのだと思います。

自治体が旗を振るのではなく、地域に根ざした企業が自らの意思でプレイヤーを育て、まちの担い手を増やしていく。みしますきーが示しているのは、そうした形の一つの可能性。地域の企業がこうした地元の「チャレンジ」の伴走支援の担い手になっていく動きが各地に広がっていけば、まちづくりの輪は、もっと強く、もっとしなやかに育っていくのではないでしょうか。

現在、2026年度(第4回)の参加者を募集しています。7月17日(金)・26日(日)・8月10日(月)にはプログラム説明会を、7月26日には物件・まちなかツアーも開催予定です。三島のまちで何かを始めてみたいという方は、ぜひこの機会にご参加ください。
みしますきー特設ウェブサイト https://mishimaskii.com/

◾️エンジョイワークスの事業者育成型公募とは?
(セミナー実施記事)「事業者育成型公募」の醍醐味ってなに?地域のプレイヤーを「つくる」新しいアプローチ(2025/9/16付)
https://enjoyworks.jp/times/220/

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