6月は、ヨーロッパでは1年を通じて最も結婚式が多い月とされてきました。「ジューンブライド」という言葉が示す通り、この季節に式を挙げることは古くから幸せの象徴と言われています。日照時間や気候がよく、農作業が一段落し、ローマの女神ユーノー(Juno)が掌る月とも言われています。こうした歴史的背景が今も大切にされるのは、結婚式という人生の大切な瞬間に、何か普遍的で格式あるものを求める人の心理があるからかもしれません。
とはいえ、日本では、梅雨の時期でもあり、結婚式の多い時期は10月11月の秋シーズン。それでも「ウェディング」といえば6月を想起するのではないでしょうか。実は、こうした古い伝統と自分たちらしさの両立を求めるカップルたちによって、ウェディングは今、変わりつつあります。
ウェディングの「その先」を求める人たち
一般的な結婚式場での挙式から、オリジナリティを追求するカップルが増えています。大切なのは、「どこで挙げるか」というロケーション選びと、手作り要素を交えながら、自分たちらしさを表現する自由度。デザイナーズホテルの一室で、小人数の親密なガーデンウェディングで、古民家で、あるいは海辺で——場所やそこからの景色を選ぶこと自体が、ふたりのストーリーの一部になっています。さらに、大手式場のテンプレート化したサービスではなく、地域の食材を活かしたケータリング、持ち込みの装花、自分たちで企画したアクティビティなど、細部へのこだわりが重視されるようになりました。式そのものが「消費」ではなく、「体験」であり、参加する人すべてが共有できる記憶となることが、現代のカップルたちが望んでいることなのです。
ところで、結婚式がもたらすものは、その日限りのイベントではありません。二人が人生の大切な決断をした場所、家族や友人たちと心を寄せ合った時間——それを象徴する「場」自体が、記念日として何度も心に呼び戻される存在になります。だからこそ、その場所がどのような背景を持つのか、どのような佇まいをしているのか、どんな時間が流れているのかが大事です。ありきたりの会場ではなく、歴史を感じさせる空間、特別感のある環境だからこそ、後年になって「あの場所で」と思い出すたびに、その日の気持ちが鮮烈に蘇ります。
記念日の「場」が担う役割
こうした背景のなか、私たちが運営する施設でウェディング会場として活用いただいているのが、国登録有形文化財である旧東伏見宮葉山別邸。1914(大正3)年に東伏見宮依仁親王の別邸として竣工し、設計は葉山御用邸増改築などを手掛けた宮内省内匠寮技師の木子幸三郎による、和洋折衷の格調高い建築です。相模湾を望む葉山の高台に立つ白亜の「別邸」は、屋根の深緑とドイツ下見板張りという優雅な外観を持ち、由緒ある宮家の別荘としての格式を今に伝えています。
旧東伏見宮葉山別邸ウェブサイト https://bettei-hayama.com/

重厚な「旧皇族」の別邸。この空間をどのように使うか…「自分たちだけの記念日」を鮮やかに彩る“白いキャンバス”と言えそう
2025年のリニューアル後、この邸宅は少人数から大人数まで、さまざまなハレの日の利用が可能になりました。結婚式、婚約記念のパーティ、さらには家族だけでの挙式——どのような形式であれ、この空間が持つ歴史の重みと優雅さが、その日を特別に彩ります。 邸内(会場)のレイアウトも自由。ふたりの希望に応じて、葉山という土地の良さを活かしながら、細部をカスタマイズできます。宿泊もできるため、式後に親族や友人たちとゆっくり過ごすプライベートな時間も設けられます。多様な選択肢が、カップルたちの「らしさ」の実現をサポートし、葉山という場所で、歴史ある別邸という背景の中で、ふたりの人生の新しい章が始まる。——こうした組み合わせは、後年になって改めてその価値が分かる、深い記憶になるはずです。

先月、この「別邸」で行われたウェディングパーティの様子。参列者にとっても「記憶に残るひととき」になりそう
◼️旧東伏見宮葉山別邸Instagram https://www.instagram.com/bettei_hayama/
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