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住宅ストックは「資本」です——サーキュラーエコノミーが再定義する地域経済

New Topics 公開日:2026/03/03

日本の住宅政策は今、転換点を迎えています。全国の空き家は約900万戸、空き家率は13%を超え、過去最高水準。およそ7軒に1軒が空き家という現実は、「足りないから建てる」という時代が終わったことをはっきりと示しています。国は「空家等対策の推進に関する特別措置法」の改正や活用促進区域の創設などを通じて、放置空き家の是正だけでなく“利活用”へと舵を切りました。次期住生活基本計画でも「既存住宅ストックの価値最大化」が大きなテーマに掲げられ、住宅は“供給するもの”から“活かすもの”へと前提が変わり始めています。これは単なる制度改正ではありません。市場の思想が書き換わろうとしています。

その背景にあるキーワードと言えるのが、「サーキュラーエコノミー(循環型経済)」。環境分野では、すでに多くの自治体がごみ削減や資源循環政策の文脈でこの概念を取り入れていますが、近年は住宅施策や都市政策の中にもこの考え方を組み込む動きが広がっています。「つくって、使って、壊す」直線型の経済ではなく、時間を重ねながら価値を更新する。この発想の転換こそが、人口減少社会における合理的な戦略なのです。サーキュラー(円形の循環)はエコ分野だけでの話ではなく、経営の視座であり、まちづくりの構造論でもあります。

住宅は循環のインフラ——ストック活用が地域経済を動かす
それでは、住宅分野での「サーキュラー」とは何か。それは、古い建物を単にリフォームすることではありません。解体を前提としない設計、用途転換による再編集、空き家を事業資産へと変える視点、さらには地域の中で人とお金が循環する仕組みをつくること。住宅を「住むだけの箱」から、「稼ぐ装置」「つながりを生む拠点」へと再定義する考え方。壊さずに活かすには、覚悟と構想力を要する訳ですが、政策が後押しし始めたのは、この“活かす力”なのです。

振り返れば、私たちエンジョイワークスが取り組んできた空き家再生や歴史的建造物の利活用、分散型宿泊モデル、共感投資によるファンド組成は、このサーキュラーの実装そのものでした。建物を残すだけでなく、そこに眠っていた物語や関係人口を掘り起こし、地域に循環させる。空き家を「負債」として処理するのではなく、「可能性」として事業化する。建て替えるのではなく、編集する。その繰り返しが、結果として循環型の経済モデルを形づくってきました。

エンジョイワークスが手がけてきた空き家(遊休不動産)の利活用事例。建物を活かして次につなぐ。私たちが創業以来続けてきたこと

いま、国の政策がストック活用へと舵を切り、自治体もサーキュラーの視点を住宅施策に取り入れ始めています。それは追い風です。しかし、本質は制度ではありません。地域に眠る資産をどう再編集するか。建物を通じて、どんな循環を生み出すか。住宅は「つくる」から「活かす」へ。そして、活かすことを前提に未来を設計する時代へ。サーキュラーエコノミーは遠い概念ではなく、私たち、エンジョイワークスの現場でもすでに「進んで」いるリアルなのです。

参考資料:横浜市「サーキュラーエコノミーplus((横浜版地域循環型経済ビジョン)」
https://www.city.yokohama.lg.jp/business/kyoso/kyosofront/circulr.html

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