改修や刷新を指す言葉、「リノベーション」。主に建物の再生で使われていて、室内設備を入れ替えるだけでなく、「柱や梁を活かす」「出てきた廃材で建具を作る」「眺望や景色をもっと活かす」――そこから、新築以上の価値を作り出そうというもの。使いにくさや時代(生活)に合わない部分を整理して組み立て直す。そこにリノベの面白さや本質があるのです。そして、もうちょっと広い視点で、「まちをリノベ」する取り組みも広がっています。それが「エリアリノベーション」。よく耳にすることの多い自治体の「再開発事業」は土地区画整理や市街地開発など、土地や建物、公共施設、インフラの整備・更新の要素が強いもの。都市機能の向上が大きな目的です。
一方、エリアリノベーションは、そのエリア(駅前や賑わい拠点)の特徴を丁寧に紐解き、空き店舗や空き家の再生、公共施設・空間の再整備や利活用などを考えながら、そこならではの魅力と価値を高め活性化させていくまちづくりの手法です。既存の建物を活かすなどして、部分的な改修や改善を行うことで地域を活性化させる取り組みで、歴史・文化などの魅力も整理しながら、コミュニティの再生につなげていく。人をまちに引き入れる。つまりは「街の価値を再構築(リノベーション)」しているのです。
なぜ今、エリアリノベーションなのか?
再開発とエリアリノベーションは目的やアプローチ、規模や範囲が違うので「どっちがいいか?」というものではありません。ただ、大きな違いは、地元の住民や団体など、町の息遣いを知っている人たちを交えた「住民参加型」のアプローチが肝となっているところ。既存の地域資源を生かし、地域の文化や住民参加を取り入れて持続可能な価値の創出を目指す。その土地特有のアイデンティティを保ちながら、コミュニティを育む。つまり、地域の「持続可能な成長」を目指すアプローチでもあります。
これは、地域住民が協力しあって地域の課題を解決する「共助」の仕組みを育むことにもつながります。住民が主体となることで、誇りを持って関わり続けられる環境が整っていく。「まち」だけでなく「人」も持続可能な空間を創っていくことも、これからの地域社会には必要なことかもしれません。
エンジョイワークスも「まちづくり」に携わる中で、自治体や企業と連携したエリアリノベーション事業の運営をいくつか手掛けています。「みんなでまちづくり」を各地で具現化しながら地方創生につなげていくのが、私たちのミッション。エリアの持っているポテンシャルを掘り起こして、新たな価値を創り出していきます。
■和歌山県紀の川市、地域金融機関などと連携したエリアリノベーション
*同市の粉河とんまか通り一帯の空き家・空き店舗再生と事業者育成のプログラム
*エンジョイワークスでは空き物件をリノベーションした地域拠点(MIKASAKAN:カフェ・宿泊施設・サウナ)を開業
https://enjoyworks.jp/news/26593/
https://www.city.kinokawa.lg.jp/cityinfo/pdf/2408-1.pdf
(紀の川市広報2024年8月号)
■旧市営住宅団地の再生による新たなまちづくり
*横須賀市の旧市営田浦月見台住宅の建物リノベーションと団地一帯のエリア再生
https://enjoyworks.jp/times/051/
■UR都市機構と取り組む日本橋横山町・馬喰町エリア参画推進プログラム
*日本橋の問屋街での遊休不動産活用と事業者育成
https://enjoyworks.jp/news/8548/