空き家や空き物件の課題について、私たちが自治体からの相談の中で多く耳にするのが「プレイヤーがいない」「おもしろいアイデアがあってもまとめる人がいない」という悩み。行政の立場の人だけでなく、どの街にも「空き店舗をなんとかしたい、何か始めたい」「活性化につながることをやりたい」と思っている人はいるのでしょうが、そういった思いやパッションを「すくい上げる仕組み」がないのが現状。また、自治体がプレイヤーを集めようとしても、ノウハウや事業化までの計画がないと、どのように導いていけばいいのか、どのように併走すればいいのか分からないのです。
そんな悩みに寄り添うために、エンジョイワークスが自治体と連携して進めている事業が「事業者育成型公募」。その言葉の通り、まちづくり・地域活性化に取り組む人を公募して「事業者」として育てあげるもの。地域の空き家や遊休不動産を対象に、具体的な事業計画案やアイデアのある事業者を募集し、計画のブラッシュアップのための研修や“地域参加型”による空き家再生のノウハウを学びます。物件オーナーやまちづくりの専門家、自治体、地元の金融機関など地域の人たちと連携して進めるユニークなプログラムです。
キーワードは「持続可能」。アイデアや意欲を引き上げるだけでなく、事業として根付かせるためのノウハウを学ぶ場を提供しながら、人材を育成するのが目的です。自治体としても、地域にコミットした人材(プレイヤー)を定着させることができれば、空き物件の再生という「点」の成果だけでなく、それを有機的につなげる機動力が増えるということ。地域への波及効果も期待できます。各地に空き家再生の実例を持つ「プロフェッショナル人材」を増やしていくことも狙いの一つです。
これまで私たちが、「事業者育成型公募」や「空き家再生プロデューサーの育成」で関わった自治体は10カ所近く。例えば、福井県池田町では、町と株式会社福井銀行と協働で、事業者育成型公募として町所有の2つの古民家を対象に研修プログラムを実施。計8組が参加しました。プレゼンテーションを経て選定された事業者が、物件をリノベーションし、昨年3月に「バケーションステイ」をコンセプトにした一棟貸しの宿を開業しています。
池田町ホームページ(町有空き家活用プロジェクト)
https://town.ikeda.fukui.jp/kurashi/sumai/1471/p002689.html
この事業は、「空き物件を使って地元でチャレンジしたい」という人の後押しになっただけでなく、物件の価値を再構築することで、地域の新たな魅力を生んでいます。意欲のある事業者や人をボトムアップさせるのが私たちの役割。こうした事業を手掛けた人たちが、まちづくりのプレイヤーとなり、地域でさらに活躍することを期待しています。
また、私たちは自治体だけでなく国内各地の企業とも同様の「事業者育成型」の物件再生を手掛けています。UR都市機構と進めているのが、日本橋馬喰町横山町エリアの事業者を募集・育成する「日本橋さんかくプログラム」。静岡県三島市の加和太建設とは、公募型・物件活用事業支援プログラム「みしますきー」を展開しています。それぞれ、地元の企業やまちづくりの専門家と連携しながら、「新しい場・コト・モノ」を作り出しています。
さんかく不動産日本橋
https://nihonbashi.sankaku-fudousan.com/
三島まちなかチャレンジプログラム みしますきー
https://mishimaskii.com/
地域を通じた環境・社会・経済の好循環―。“持続可能なエリアマネジメント”のきっかけを作るのが私たちの仕事。エンジョイワークスには、自治体からの依頼によって派遣する、地域力創造アドバイザー・地域活性化起業人の人材もいます。自治体や地域の悩みや課題にどのように寄り添えるのか。これからも、経験とノウハウ、アイデアをフル稼働していきます。
自治体と企業がリードする、“参加する”地域活性ソリューション(実践例紹介ページ)
https://enjoyworks.jp/produce/solution/