私たち、エンジョイワークスが拠点とする鎌倉や葉山で、人や場所・モノを巻き込みながら積み重ねてきたのは、心地よい「コミュニティ=まち」づくり。その手法を新しい場所で実践している若者がいます。事業企画部の永田大樹(28)。いま、和歌山県紀の川市で空き物件再生のプロジェクトに取り組んでいます。「リアルな現場」での奮闘の様子とまちづくりへの想いを聞きました。(聞き手:ENJOYWORKS TIMES 佐藤朋子)
――そもそも、エンジョイワークスに入社したきっかけは?
大学は建築系学部の出身で、卒業後に就職したのが、リノベーションを専門に手掛ける会社でした。その後、都市計画のコンサルタントをする会社に転職して、自治体の案件も手掛けていましたが、よりリアルな体験を求めるようになっていき…。エンジョイワークスは、最初の就職で上京した際にイベントに参加したことがあり、そんな縁もあって2020年の秋に入社しました。
――紀の川にはどんな経緯で携わることになったのですか?
エンジョイの拠点は湘南ですが、出身が大阪の高槻なので、「関西で仕事をしたいな」との思いがありました。ちょうど、「紀の川でプロジェクトを始めるよ」と福田さん(エンジョイワークス代表、福田和則)に声をかけてもらって。それまでの2年間にファンド事業を手掛ける中で、現地のプロデューサーとオンラインでやり取りすることが多く、自分も「リアルな現場に入りたい、プレイヤーになりたい」という気持ちも募っていた時でした。そこで、自分の最初のミッションを「空き家を再生して自分が住む」に据え、スーツケース1つで、この街(紀の川市粉河)にやって来ました。
――紀の川に来てみて…街の印象は?
紀の川市は大阪の都心部へのアクセスも便利で、住み心地も良いと思います。ただ、人のつながりはあるけど、見えない壁があるような印象でした。さらに、農家も多くて比較的豊かな人が多いけど、4~50代の人が外へ出て行ってしまっているな、と。実際のデータで言うと、和歌山県は全国2位の空き家率。そして賃貸や売却を予定している「利活用の余地がある空き家」ではなく、撤去できず放置されている「その他の空き家」の率が全国一高いというのが特徴です。
そんな場所に乗り込んだ訳ですが、これまでの鎌倉での仕事(日本各地のプロジェクト)を継続しながら自分の住み家をDIYするのは重労働でした。紀の川市の職員の方に紹介してもらった空き家で、毎日、片付けして、物を避けて寝る場所を作って、と言う感じでなかなか進まない。そこでDIY自体もイベントにして、地域を「巻き込んで」行こう、と地元の高校生に声をかけてみんなで漆喰を塗ったりしました。当初は、下準備や人集めも苦労していたのですが、夏ごろ、地域おこし協力隊の三宅くん(三宅慧/現在は事業企画部所属)が来て2人体制になって、だいぶエンジンがかかりました。インスタグラムの発信や口コミで、「何かやっている」ことが周囲に伝わるようになって。再生したスペース(シェアハウス)のプレオープンには40人も集まったんです。市役所も積極的に声掛けをしてくれて、地元の高校や大学とのつながりもできました。ボランティアや部活として参加してくれる学生もいて、連携のプレイヤーが広がっているのは嬉しいですね。
――次なるプロジェクト、「三笠館の再生」が始まっています
自分に課せられたメインのミッションは街の中心である商店街(の空き店舗)を再生する、というものでしたが、それに適った物件がなくて。たまたま立ち寄った町の観光センターで、地元の人にそんな話をしていたら、ここはどう?と言われたのが、その目の前にあった旅館「三笠館」でした。大正時代の創業で10年以上前に閉じてしまっていたのですが、名刹・粉河寺の近くの立地と建物にポテンシャルを感じました。そしてオーナーさんも、「この後どうすればいいか困っている…」と聞き、それなら、と再生に手をあげることにしたのです。とはいえ、増築して4棟もあり、規模が大きすぎるので悩んだのですが、補助金(観光庁:歴史的資源を活用した観光まちづくり推進事業と国土交通省:空き家対策モデル事業)を申請して採択を受けることができ、プロジェクトが前に進みました。中長期の宿泊が可能な宿と、名産のフルーツが楽しめるカフェやサウナなどの複合施設に生まれ変わる予定です。
三笠館は町のメインストリート(とんまか通り)にあり、昨夏、紀州三大祭と言われる「粉河祭」の際、2階のスペースを開放して地元の方を中心に約60名くらいに観覧を楽しんでもらいました。「ここどうなるの?」「取り壊してしまうの?」と、声をかけてくれた人も多くて、再生への期待を感じました。祭の名物は「だんじり」。自分も神輿を担いだり、勇壮なだんじりの曳行で盛り上がる様子を見て、「まだまだ賑わいの種はある」と嬉しくなりました。
建物の解体工事は12月から始まり、年明けの元日と2日には、地元の造り酒屋さんから頂いた酒かすを使って粕汁を作って三笠館の前で提供したり、リノベーション途中の物件を見てもらったりしました。2月に三笠館の事業計画の説明と事業に対する意見交換「粉河エリアの未来を考える会」を開催した際は、粉河にゆかりのある人々からさまざまなアイデアをいただきました。ここでの声を、資金調達の際に使うファンドの特典に反映させています。
――「地域活性化起業人」として、この町で描いているものは?
この事業のプロデューサーという以外に、地域活性化起業人という肩書があります。これは、自治体の依頼を受けて、企業が地域活性に従事する人材を派遣する制度。つまり自分は「仕事で培ったスキルやノウハウを活かして、紀の川のまちで地域活性に取り組む人」ということ。現状では、建築設計から予算計画やマネジメント、補助金申請、イベントの企画運営、オペレーションまでオールマイティで、ソフトを動かしながらハードを作っている感じです。
粉河の街は、歴史あり農産物の魅力もあり、インバウンドの流入や連泊の需要もあると思います。自分は良い意味で外からの風を入れる人。町の人だけだったら、そこまでエンジンがかからなかったかもしれません。人材やおもしろい・貴重な・おいしい「素材」を発掘できる立場なので、それを立体的に動かしていきたいですね。三笠館自体は、5月あたりのオープンを想定していて、この後もいくつか物件再生を進めていく予定です。
粉河はかつて和歌山で2番目に栄えた町だったそうです。商売人も多く、町に誇りを持っていて、人間関係の密度が高い。そんな町だからこそ、僕たちみたいな「刺激」「エッセンス」が入ると、良い循環になるのではないかな。エンジョイワークスとしては、地域の人たちがチャレンジできる場所や変化の場を作ってつなぐ、一緒に巻き込む人を見つけていく・どれだけ巻き込んで行けるか考えていく―というビジョンを描いています。自分の役割は、プロジェクトに携わる“チーム”の仲間の輪を大きくする、そして「街の人を主役にしていく」後方支援だと思っています。
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「地域活性化起業人」として自治体への派遣は、エンジョイワークスとしても初めての試み。現地と鎌倉を行き来…のはずが、紀の川生活の割合が多くなっている様子の永田。スタートから1年経ち、「自分のプロジェクトになってきた」と実感を話してくれました。
3月には、地域おこし協力隊として新たなメンバーもジョイン。20代の若さとパワー、アイデアがいま、粉河の街にキラリと光っています。
紀の川市での活動の様子はこちら
https://osaka.enjoyworks.jp/search/31
紀の川市粉河まちづくりプロジェクトInstagram
https://www.instagram.com/kokawa_renovation/
紀の川三笠館再生ファンド
リスクを含むファンド紹介はこちら
https://hello-renovation.jp/renovations/22176
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