その集合体の外観に、誰もが衝撃を受けた「中銀カプセルタワービル」。実際に近くを通ったり目にしたりしていなくても、その近未来的な姿は建築業界でも別格の存在感でした。2022年に解体された後も、その「カプセル」の行方が多方面で話題になっています。
今、私たちが「中銀カプセルタワービル再生・活用プロジェクト」とタッグを組んで始めている事業が、世界唯一の「泊まれるカプセル」…カプセルヴィレッジです。他の再生事例は、美術館での展示など「見る」ことがメインのものが多く、居住空間だったかつてのカプセルを体験できる機会はほとんどありません。幅2.7m×奥行4.2m×高さ2.55m。言わば小さな「ハコ」なのですが、このサイズの空間を、「宿泊」をテーマに好きなようにデザインしてみて――!というお題を投げかけました。それが「カプセルデザイン」募集。1カ月ちょっとという、(コンペとしては)短い期間でしたが、142件のエントリーから計62作品の応募がありました。
6月上旬。「中銀カプセルタワービル再生・活用プロジェクト」代表の前田達之さんやエンジョイワークスの役員、事業企画部担当チームで選考会を実施しました。一つひとつの作品に込められた、カプセルへの思いやアイデアに圧倒されたと同時に、改めて、その存在の影響力や「カプセルの可能性」を感じた私たち。選考の結果、4つのデザインを決定したのですが、横長の直方体のカプセルを縦に構成するアイデアなど、まさに「目からウロコ」の作品もあり、カプセルから想像させる・創造する空間の多様性にも触れることができました。
選外とはなりましたが、私たちは急遽「特別賞」も設けました。そのひとつが、小学3年生からの応募デザイン。タワー現存時に、親御さんに連れられてカプセルを訪れた経験があり、そこから浮かんだアイデアを手書きで応募してくれました。タイトルは「じぞくかのうな泊まれるカプセル」。小学生にも浸透している「SDGs」の観点を随所に入れているだけでなく、将来の夢も書き綴ってくれました。あれこれ考えながら鉛筆で線をひき、言葉を考え、色を塗っている姿を想像すると、デザイン募集を主催した私たちも嬉しい気持ちになります。
丸窓が付いた白い直方体。ただそれだけ、ではあるのだけど、逆に制限のあるサイズだからこそ、奥深くコンセプトが広げられる。カプセルから見える風景だけでなく、その「丸窓」がどのように活かされているのか? それは、泊まってみてのお楽しみ。「カプセルヴィレッジ」としての開業は、今年の年末から来年早々を予定しています。多くの方に、その空間と「カプセルとは」を思案いただきながら、楽しんでもらいたいです。
*カプセルヴィレッジは、設置予定の5つのカプセルのうち、4つは今回のデザイン作品で、1つは当時の内装を再現したオリジナルとなります。
中銀カプセルプロジェクトLINEアカウント
https://lin.ee/scWSWox
PRTIMESリリース(7/9付)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000020.000061795.html
前田さんインタビュー記事
https://enjoyworks.jp/times/077/