ひらがなで書くと「あきや」。不動産に絡めると「空き家」と変換しがちなのですが、今回はこっち、「秋谷」の話。三浦半島にある横須賀市、その相模湾側(西海岸)の北側、葉山町との市境の町です。
「横須賀」というと、米軍基地があって、どぶ板通りとかネイビーバーガーとか、アメリカンな文化の色濃い街のイメージでしょうか。実際に、ドルで買い物できるお店があるし、基地勤務の外国人も多く見かけますが、これらは三浦半島の東側(東京湾側)の話。西に横断して相模湾に面した、「西海岸」と言われるエリアは、ちょっとその様相が変わります。秋谷・久留和・芦名・佐島・長井といった小さな漁港が連なり、海辺の静かな町は空が高くて、空気も人も穏やか。もちろん、新鮮な魚介類や地場の野菜もすぐに買えるし、「隠れ家」的な飲食店やゲストハウス、別荘・セカンドハウスも増えています。
そんな西海岸エリアの中でも「秋谷」は、避暑地・別荘地として著名な葉山町のすぐ南。だから「南葉山」と名付けられた建物も少なくなかったり。でも(行政区だけでなく)葉山とは何かが違う。海から近いのに海抜が高いので「抜け感」があり、かつ緑も多く、ちょっと足を踏み入れれば、地方にある渓谷のような前田川、海を見渡せば自然な海岸線が残り、富士山ビューも満喫できます。
町内にある絶景スポット「立石海岸」は、江戸時代の風景絵師・安藤広重が「相州三浦秋屋の里」と題して風景を描いた場所。秋谷の南側にある「芦名」には、運慶作の真作を5体収蔵している浄楽寺があります(ここには、郵便の父、前島密のお墓も)。歴史の教科書に馴染みのある遺産も自然と馴染んでいる。開発された「新しい町」ではないから、積み重ねた歴史をそこまで主張することなく佇んでおり、緩やかな空気感を醸し出ているのかもしれません。
そして、不動産事業者の視点からも、秋谷はホットスポット。海辺を見下ろす町並みは、湘南エリアとはまた違った「海ビュー」。移住の「すごろく」のように、都心から湘南へ、そして秋谷へ…と心地よい場所を求めて移り住んでくる人も少なくありません。古い家を自分の手で直しながら暮らす人、自給自足を実践している人、こだわりの詰まった住居を建てる人、セカンドハウスを持って「切り替えの場所」にしている人――とさまざま。暮らし方も多様で、そんな混ざりあいも秋谷の特徴かもしれません。
そして、私たちエンジョイワークスも今年、鎌倉・由比ガ浜の3拠点に加えて「秋谷」にもオフィスを開設しました。元保育園をリノベーションした3階建ての複合施設「Soil work Akiya Village」の一角。ジムやカフェのほか、コワーキングスペースも。秋谷や近隣エリアの住民の活動拠点としても機能し始めたところです。私たちはこの場所に“海見え”サウナも建設。コミュニケーションの場がポツポツと増えていて、ここに限らず、経営者や起業家、アーティストなど、「暮らしの感度」が高い人が集まってきています。つまり、秋谷には、環境、眺望に加えて、人材やアイデア、カルチャーのポテンシャルも詰まっているのです。
自然も遊びも、仕事も満たされる場所、秋谷。ちょっとローカル、そして、掘れば掘るほど魅力がザクザク出てくる町。ここを知らない人も、足を伸ばしてみたくなったのではないのでしょうか?
秋谷の魅力を語りつくす「エリア動画」
秋谷で進行中のプロジェクトはこちら
◇秋谷DAYOFFプロジェクト
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(建築士インタビューはこちら)
◇サウナ小屋ヴィレッジ
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