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昭和の元工場が育てる、新たなものづくり空間―「KIKI BASE FUJISAWA」小商いと創作が芽吹く場所

New Topics 公開日:2026/03/17

週末、まちのどこかで開かれている「マルシェ」。日本でこの言葉や形態が一般的に広まったのは、2000年代後半のこと。フランス語で“市場”を意味するとあって、かつては野菜や果物を買う場所というイメージが強かったかもしれませんが、日本のマルシェは、単なる買い物の場を超えた“コミュニティの交差点”のような存在になっています。こだわりのコーヒー、作家一点もののアクセサリー、丁寧に焼き上げられたお菓子。その場でしかできないワークショップ。作り手と使い手が直接言葉を交わし、その背景にあるストーリーごと受け取る。そんな体験が日常の中に自然と溶け込みはじめています。

そんな“コミュニティの交差点”を、私たちは藤沢で育てています。舞台は、藤沢の住宅街にある元工場。エンジョイワークスが運営する「KIKI BASE FUJISAWA」は、かつて地域を支えてきた工場をリノベーションしたシェアアトリエです。水色のトタンの外壁に高い天井、無骨ながらも少し懐かしさを残す空間。「藤沢機器」時代の、ものづくりの記憶を宿した建物に、新しい役割を吹き込みました。約3㎡〜のブースは、木工のアトリエや「小商い」の店舗として、日々さまざまな創作が行われています。地域活動拠点、研究拠点として使っている方も。ただ、一歩外に出れば静かな住宅地。何をしている場所なのかが伝わりづらい、少しだけ“隠れ家”のような存在でもありました。地域の方にもっと、この場を知ってもらうため、扉を開くきっかけをつくるために昨年の初夏から、毎月マルシェを実施しています。

入居者の販売商品から、近隣からのマルシェ出店など多種多様。ワークショップを通じて「ものづくり」をより近く感じてもらう狙いも

KIKI BASE FUJISAWAウェブサイト
https://kikibase-fujisawa.com/

開催を重ねる中で、私たちはKIKI BASEの原点を改めて見つめ直しました。ここはイベントスペースではなく、「何かをつくる人たちの拠点」。その軸をより明確にするため、アップデート。今年から「ものづくりマルシェ」としてリスタートしています。特徴は、“体験”に重心を置いていること。完成品を並べるだけでなく、地元の出店者の皆さんにワークショップをお願いし、来場者が実際に手を動かす機会をつくっています。木端材で小物をつくる、革の端切れでキーホルダーを仕立てる、季節の草花でスワッグを組む。プロの手元を間近で見ながら自分でもやってみると、思い通りにいかない難しさと、完成した瞬間の喜びが同時に押し寄せます。そのプロセスこそが、ものづくりの本質なのだと実感でき、作家さんと参加者が自然と会話を交わしながら作業を進める光景も、この場所ならではの風景になりました。売り手と買い手という関係を超え、「つくる人」と「つくってみたい人」が交差する時間が生まれています。

このマルシェが目指しているのは、単なる週末イベントではありません。ものづくりの奥深さに触れ、自分の手で何かを生み出す感覚を思い出すこと。そしていつか、「これを続けてみたい」「仕事にしてみたい」という想いが芽生えたとき、その一歩を支える場でありたいと考えています。クリエイティブの拠点として、小商いのスタート地点として、趣味を本格的な事業へと育てる場として。マルシェ開催中、実際にブースを見学いただくこともできます。この場所の空気を感じ、自分の“BASE”としての可能性を思い描いてみてください。

住宅街にひっそり佇む、旧・藤沢機器。中に入ると…ブースと(共有)フリースペースのレイアウト

次回の「ものづくりマルシェ」は3月22日(日)。新しいことを始めるにはちょうどいいタイミングです。元工場のリノベーション空間で、自分だけの「ものづくりの種」を見つけてみませんか。個性豊かな出店者の皆さんとともに、お待ちしています。
前回、2月22日の様子はこちら
https://www.instagram.com/p/DVNOHgzkkwb/

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