北は日光、東には宇都宮。「日光例幣使街道」の宿場町として栄えた栃木県鹿沼市。木工や彫刻屋台といった文化が息づく一方で、近年は「いちご市」宣言やサウナ・アウトドアの聖地化など、地域の資源を活かした新しい挑戦が注目されています。今回の舞台は、東武日光線の玄関口・新鹿沼駅前エリア。特急で都心と直結し、日光・鬼怒川へのアクセスも抜群ですが、現状は「目的地への通過点」という側面が強く、駅周辺での滞在や買い物を楽しむ場所が少ないという課題を抱えています。約2km東に離れたJR鹿沼駅との間に広がる中心市街地も、南北に走る線路や川によって分断され、エリア全体の回遊性を生み出しにくいのが実情です。そういった動線の課題に加えて、活用されていない建物や空き家があるという風景は、ここ鹿沼に限らず、全国の地方都市が直面している共通の悩みでもあります。
正解を決めないことで、可能性が集められる
今回、私たちは地元の信用金庫などと連携して、新鹿沼駅前を舞台に空き家の活用アイデアを募集する「かぬまるコンテスト」を立ち上げました。活用の構想を練る際に、「この建物はカフェにする」「ここは観光拠点にする」と決めてしまえば話は早いかもしれません。しかし、それが本当に鹿沼に合っているのか…は、外からの視点や多様な発想を集めてみなければ分かりません。正解を用意するのではなく、「もしここが、鹿沼らしい○○だったら」という妄想を本気でプレゼンする。それが、鹿沼をちょっと掘り下げる(沼る)=かぬまるという訳。
対象となるのは、新鹿沼駅前や商店街にある実在の空き家(店舗)。空間の使い方、事業のかたち、収益モデルまで含めて自由に提案してもらうことで、建物そのものだけでなく、まちとの関係性や人の動きまで含めた可能性を可視化できる。アイデアを集めること自体が、このエリアに関心を持つ人を増やし、まちに光を当てるプロセスになると私たちは考えています。

元下駄屋の木造商家建築(写真左)や奥行き50mの「おもしろ」物件など、まちに眠る空き店舗や空き家が対象
アイデア募集は、“関係人口”を育てる装置
エンジョイワークスはこれまで、全国各地で空き家や遊休不動産をテーマにしたアイデア募集や事業化支援に関わってきました。そのなかで強く実感しているのは、アイデアの採択数以上に、「関わる人」が増えていくことの価値です。応募をきっかけに、このまちの活性化について改めて考える人、地域を訪れる人が現れ、対話が生まれ、すぐに実装には至らなくても、次の企画や挑戦につながっていく。事業を生む可能性のある場であると同時に、関係人口を育てるための装置でもあります。
今回の「かぬまるコンテスト」では、面白さだけでなくもちろん、実現可能性や持続性、地域との関係性を重視した審査を行います。金融・創業支援・地元事業者・行政・市民など多様な視点が交わり、みんなの「ワクワク」が作られていくこと、つまり「か‟ぬまる”」人たちが増えることを期待しています。
新鹿沼駅前に、立ち寄る理由が生まれたら。ここに来れば誰かに会える、何かが始まっている、そんな風景が少しずつ積み重なれば、空き家は、過去の遺産ではなく、これからの物語を紡ぐ余白です。そこに、どんなアイデアが置かれるのか。私たちエンジョイワークスも、運営事業者として、伴走していきます。

街地と里山が近接した「ほどよい田舎」が特徴の鹿沼市。東武鉄道のスペーシアで都内から新鹿沼駅まで1時間半という距離感
【募集要項】
◎応募テーマ:商店街・中心市街地が元気になる賑わいづくり
◎応募者資格:鹿沼が好きな人、鹿沼を応援したい人
国内在住の方であれば、どなたでも応募いただけます。 鹿沼市で創業・事業化を検討している個人(学生を含む)、団体、企業のほか、関係者等で構成するグループによる応募も可
◎募集内容:栃木県鹿沼市にある空き物件の活用アイデアを募集します
◎スケジュール:募集期間2026年1月26日(月)~2026年2月28日(土)
*一次選考(書類選考):2026年3月上旬 *公開プレゼン・表彰式・交流会:2026年3月28日(土)
◎表彰:地域名産品の贈呈ほか、入賞特典あり
◎応募方法:事前にエントリーをお願いします。
下記、コンテストウェブサイト応募フォームより、事前登録のうえ、メールまたは郵送で提出してください。
詳細は
かぬまるコンテストウェブサイト
https://enjoyworks.jp/kanuma/
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鹿沼市内に昨年オープンした、エンジョイワークスの「泊まれる蔵」ブランドの宿
The Bath & Bed Kanuma
https://www.instagram.com/the_bath_and_bed_kanuma/
2026/01/20
2026/02/03