神奈川県の西南部、海と山に囲まれた真鶴町。人口はわずか6,000人あまりの小さな町ですが、豊かな歴史と独自の文化が息づいています。かつての石材産業の拠点として栄え、海岸沿いには趣のある古い建物が点在します。その中でも「旧土屋邸(旧民俗資料館)」は、町の歴史を象徴する建物のひとつです。しかし、年月を重ねた建物は老朽化が進み、維持管理も容易ではありません。町にとって、こうした資源をどう守り、活かしていくかは大きな課題です。そこで町は、民間の知恵を取り入れながら、この施設を地域と一緒に新しい活用の道を探すチャレンジを始めています。
プロジェクトを支えるのは、エンジョイワークスと真鶴町役場です。ここで始まるのは単なる施設の再生ではなく、町民の声や地域の実情を取り入れた共創型の取り組み。「この建物が町にとってどんな価値を持つのか」「誰のために、どのように使うのか」を、住民、行政、民間事業者が共に考えながらプロジェクトを進めています。その過程で見えてくるのは、建物の保存や運営効率だけではなく、町の暮らしや文化を未来につなぐ価値です。小さな町だからこそ可能な、顔の見える官民連携の面白さが、このプロジェクトの大きな魅力となっています。

空き家を改修した小さなお店もポツポツと生まれている真鶴。海に臨む特徴的な地形と歴史のある町
取り組みの中核にあるのが「スモールコンセッション」。コンセッションとは、公共施設の運営権を民間に委ね、活用や管理を効率的に行う手法ですが、小規模な町や施設向けによりカスタマイズされた形です。真鶴町での“コンセッション”では、町民の声を反映した条件づくりにより、地域性や文化を守りながら民間事業者の創意工夫を取り入れられる仕組みになっています。小林伸行町長はこの取り組みについて、「小さな町だからこそ、住民と一緒に未来をつくるプロジェクトを実現できる」と語ります。施設の規模は「スモール」だけど価値ある試み。効率や収益だけでなく、歴史や暮らしを重視しながら、住民と共創で歩んでいくこの手法は、全国のモデルとなり得るのではないでしょうか。
昨年度今年度と、その足がかりとなる「ブレスト」として、町民やこの施設に関心のある人に「どんな活用をしたいか」「どんな運用運営がいいか」といったワークショップを実施しました。次のステップとして、12月13日(土)には「旧土屋邸 事業者育成型公募プログラム説明会」を開催。町で事業を始めたい方、地域資源を活かした場づくりに関わりたい方の参加を期待しています。
さらに、すでに町で事業を運営している経験豊富な事業者には、メンターとしてプロジェクトに参画してもらいます。地域の特性や実際の運営ノウハウを持つメンターの存在は、新しい事業者にとって大きな支えとなります。現場の知見や町民の声を組み合わせることで、単なる施設活用ではなく、地域全体で学び、育てる取り組みへと発展させていくことができるのです。
町長も「真鶴の歴史や景観を守りつつ、新しい価値を町の中に生み出したい」と語るこのチャレンジに、ぜひあなたも一緒に加わりませんか。小さな町の挑戦が、今まさに動き始めています。
「事業者育成型公募」@真鶴町の詳細はこちら
https://enjoyworks.jp/news/32007/
真鶴町・小林伸行町長のインタビュー記事はこちら
【小林伸行町長インタビュー】小さな港町から始まる、大きな共創 ― 真鶴町×エンジョイワークスのスモールコンセッション
https://enjoyworks.jp/times/225/
2025/11/25
2025/12/02