日本各地で増え続ける「空き家」。単なる不動産の問題ではなく、人口減少、高齢化、都市一極集中など、日本の抱える複合的な問題が絡み合った社会課題と言われていますが、実際に活用しようとする際に立ちはだかるのが「物件固有の状態」「法制度」「相続など所有者側の問題」と言われます。そこに手立てはないのか…。その一手として、「民泊」として再生する事業が、注目を集めています。背景には、2030年に年間6,000万人を目標とする政府のインバウンド戦略が深く関わっています。都市部での宿泊施設が飽和しつつある一方で、観光客は地方での「非日常体験」や「中長期滞在」を求めるようになり、戸建て型の空き家を活用した民泊は、低投資で参入できる新たな宿泊事業の形として急速に浸透しています。
空き家活用や滞在の新しい形を模索するエンジョイワークスは、10月にオンライン開催した「不動産再生から始める民泊投資セミナー 〜空き家×民泊で広がる新しい不動産活用〜」で、この課題に向き合いました。セミナーではまず、「空き家と民泊の市場予測。物件選びのポイント」と題して、「民泊需要」の予測や空き家活用の可能性を解説。続いて、静岡県掛川市を拠点とする不動産Mickの馬渕健さんが、民泊に適した物件選びのポイントを深掘りしてくれました。宿泊人数を増やせる間取り、初期投資額、長期滞在や体験型の可能性といった「リアル」に参加者も興味深げ。さらに、今年静岡県で民泊事業をはじめたG.EST.(ジーエスト)の牧田実夕さん、藤田亮太郎さんが登場し、複数の物件をセルフリノベーションして民泊をスタートさせた「リアルな運営の現場」を語ってくれました。

当日のスライドより抜粋。民泊の業界は「何をすればいいか?」というのが実はあまり体系化されていない新領域市場なのです
事業収益のリアルとは? 妥協できない「採算ライン」
参加者からの事前アンケートでは「(新しい取り組みとして)民泊事業を考えている」「実際の運営や運用を知りたい」と言ったものが多く、セミナーでも「具体的な収益モデルと採算ライン」に関する質問が集中。「市場情勢の今後の予測」や「リアルな利回り、採算が取れるのはいくらからか」といった、事業として・副業や投資としての持続性に焦点が集まりました。
そして、同様に参加者が気になっていた部分が、地方の築古物件(空き家)の活用が本当に可能なのか?というところです。特に「建築基準法」や「消防法」といった、古い建物を宿泊施設に転用する際に必要となる法的なハードルをどうクリアするかという具体的な質問が相次ぎました。エンジョイワークスではこれまで30近くの民泊(宿泊)施設を開業させていますが、事業を始める前段階で、この法的な壁を乗り越えるための具体的なノウハウが、参加者にとって最大の関心事の一つであることが浮き彫りになりました。
アンケートから見える、参加者の熱量
こうした関心の高さは、終了後のアンケート結果にも現れています。「民泊可能物件を紹介してほしい」という要望や、「具体的な物件があれば、現地見学会に参加したい」といった強いアクションも寄せられました。さらには「漠然とした民泊への憧れが、具体的な事業計画として考えられるようになった」「運営の良い面だけでなく、清掃やトラブルといった大変な面も包み隠さず聞けたので、覚悟ができた」など、単なる情報収集ではなく、次のステップへの「きっかけづくり」にもなったようです。
これらの声からも「空き家×民泊」事業は、単なる一過性のトレンドではなく、具体的な収益性と法的な裏付けを伴った、地に足のついた事業として捉えられ始めていることがわかります。セミナーでは、エンジョイワークス(グッドネイバーズ)が開発した宿泊施設の運営システムも紹介。「ダブルブッキング防止のためのサイトコントローラー」など導入の重要性も解説しました。
参加者の「知りたい」という熱意は、単なる情報収集に留まらず、「すぐにでも動きたい」という具体的な行動意欲へと変化していることが感じ取れた今回のセミナー。当日紹介した山口県周防大島の古民家など、すぐに事業が始められる物件の見学会も企画中です。これまで、湘南を拠点に全国で培ったノウハウをもとに、今後も「空き家×民泊」による新しい不動産活用の一歩をサポートしていきます。
□空き家×民泊物件特設サイト
https://enjoyworks.jp/suo/
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