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【数字で読むエンジョイワークス⑦】目指すは100!通過点から見える、“泊まれる蔵”の未来

数字で読むエンジョイワークス 公開日:2025/11/04

古い蔵に泊まる。それは、過去を懐かしむための体験ではなく、「これから」を生み出す行為なのかもしれません。私たちが手がける「泊まれる蔵(The Bath & Bed)」プロジェクトは、全国に点在する蔵を一棟貸しの宿泊施設として再生し、まちの新たな価値をつくり出す取り組み。2018年、葉山での1棟目から始まったこの挑戦は、現在6カ所へと広がりました。数字にすればわずか6。しかし、その歩みの背景には、確実な広がりと、新しい関係性の芽生えがあります。

左から葉山・小布施・道後。蔵構えの「顔」も6カ所あればこんなにバラエティ

■メールマガジン記事
「泊まれる蔵」はこうしてスタートした
https://enjoyworks.jp/times/025/

1棟目の葉山を皮切りに、2023年以降は小布施と佐久穂(長野)、立山(富山)、道後(愛媛)、鹿沼(栃木)と、舞台は少しずつ全国へ。スピードではなく、“まちに根ざす時間”を重ねながら広げています。どの蔵も同じ形ではなく、その土地らしい表情で根を張っていくことを大切にしているこのプロジェクト。各地での展開は、単なる宿泊施設づくりにとどまりません。蔵という建築資源をどう生かすか。まちの空気をどう取り込み、そこに泊まる人とのつながりをどう生むか。葉山と長野・富山では自社で企画、リノベーション、運営、そして宿泊者との関係づくり。すべてを自ら行いながら、“泊まれる蔵”というモデルの精度を高めてきました。

そして、5棟目の「道後」、6棟目の「鹿沼」からは、新たなフェーズに入りました。いずれも現地の事業者が運営を担い、エンジョイワークスは伴走者として支援する形へ。自社で育ててきたモデルが、いまや地域の事業者に渡り、現地のチームによって運営されるようになっています。地域の人が自ら運営し、地域に利益が還元され、まちの経済と文化が循環していく。“泊まれる蔵”は、単なる宿泊事業ではなく、地域に新しい「まちの担い手」を生む仕組みでもあるのです。

Bath & Bedだからお風呂とベッドにこだわり。こちらも蔵の数だけインテリアも異なります

ファンドという共創のかたち
これら6棟すべてのプロジェクトは、エンジョイワークスが運営する地域活性化クラウドファンディング「ハロー! RENOVATION」を活用して資金調達をしています。共感する投資家が資金を出し、地域の事業者が運営し、宿泊者がまちと関わる。「みんなで一緒にまちづくり」という理念を、資金面でも体現する共創の仕組みなのです。

そして今、次なる舞台として準備を進めているのが埼玉県・川越。“蔵のまち”として全国的にも知られるこの地域で、「泊まれる蔵」はまた新しい一歩を踏み出します。江戸の面影を残す町並みに溶け込みながら、そこに泊まる人がまちを歩き、地元の商店に立ち寄り、夜の静けさの中にまちの鼓動を感じる——。そんな“まちの時間”を宿にするプロジェクトが、まもなく形になります。川越の蔵では、まち全体のストーリーをどう宿に落とし込むかが鍵であり、これまでの経験が確かな道しるべになるでしょう。

■川越の「泊まれる蔵」プロジェクトウェブサイト
https://enjoyworks.jp/kura/

私たちはこの事業を展開する過程で、「The Bath & Bed Team」という概念を生みました。関わりしろのある人々みんなが「Team」になって、ボトムアップで育てていく。ファンドを通じて支える仲間が増え、運営を担う地域事業者が育ち、蔵に灯りがともるたびに、新しい関係が生まれていく。壊さずに生かすことを選びながら、まちの未来を少しずつ変えていく。6棟はまさに通過点、目指すは全国に100棟。共創と「確かなリズム」で、“泊まれる蔵”をまちの未来へとつながる新しい文化として広げていきます。

第一弾、葉山のBath & Bedのプロジェクトでは、DIYや内装、香り…などワークショップからコンセプトメイキング。これが今の「泊まれる蔵」の土台になっています

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