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「泊まれる蔵」が変える蔵のまち—— 川越の「滞在型」観光を創る仲間を募集

Feature Project 公開日:2025/10/21

日本の地域に眠る歴史的資産の中でも、特に「蔵」は、その地域の文化と歴史を体現する貴重な存在です。しかし、活用されずに遊休化が進むケースも多く、そのポテンシャルはまだ十分に引き出されているとは言えません。この「眠れる資産」に新たな息吹を吹き込み、持続可能な観光インフラとして再生する挑戦が、私たちエンジョイワークスが手がける「The Bath & Bed Team(バスアンドベッドチーム)」プロジェクト、通称「泊まれる蔵」の展開です。単なる滞在場所ではなく、「まちとつながる」体験の拠点として位置づけることで、地域の価値を飛躍的に高めることを目指しており、現在、国内各地に6カ所(葉山・小布施・佐久穂・立山・道後・鹿沼)で、その地・その蔵ならではの「バスアンドベッド」が稼働しています。

蔵はまちなかにも地方郊外にもまだまだ多く残る日本独自の建物。「蔵のまち」といわれるエリアも各地にあります。そのひとつが埼玉県の中南部に位置する川越市。「小江戸」と呼ばれ、歴史的な蔵造りの街並みなどもあり年間700万人もの観光客を集める、県内有数の観光都市です。そんなこの町で、新たな「泊まれる蔵」をつくるプロジェクトがスタートしました。

古い建物や蔵が並ぶ県道12号と「かねつき通り」。2024年には過去最高となる約70万人の外国人観光客が訪れたとか

東京圏からのアクセスが容易でありながら、江戸情緒あふれる独特の景観が保たれている、非常に恵まれた地域ポテンシャルに支えられている川越。利便性の高さゆえに、昼間は賑わっていても、日が暮れると人影が少なくなるという課題も。「ナイトタイムエコノミー」という視点から「滞在型観光」を下支えするのが宿泊施設なのです。単に「蔵を宿に変える」というハード面だけではありません。蔵の街並みや蔵を改修したお店で食事や買い物を楽しむ。これに加わるのが「蔵に泊まる」。

川越でのプロジェクトでタッグを組んでいるのは、沿線地域が抱える課題解決を図るための事業共創プログラムを展開している東武鉄道株式会社(以下東武鉄道)と川越市。市内では利用頻度が低い蔵も数多くあると推察されており、維持管理や利活用について課題を感じている蔵所有者も少なくないとか。そこで、最初のアクションは、地域を象徴する蔵を使って宿泊事業を運営したい事業者を募ることと、「泊まれる蔵」に叶う蔵を探すこと。これを三者(東武鉄道・川越市・エンジョイワークス)で連携して進めています。ここで特筆すべき点は、「共創型」のスキーム。地域事業者、市民、投資家が「支援役」の鉄道会社と自治体による「地域主導型」の仕組みを作っているところなのです。

そこで、地域の事業者に「泊まれる蔵」を知ってもらうためのキックオフ説明会を企画しました。プログラムはプロジェクトの共創スキームや支援内容の詳細に加え、先行事例として愛媛県松山市の「The Bath & Bed Dogo」運営事業者によるトークなど。宿泊事業に関心のある起業志向の方、地域資源を活用したビジネスを検討中の方、既存事業との連携を考えている事業者など「川越」+「蔵」+「宿泊」に関心のある方の参加を募っています。

【川越「泊まれる蔵」プロジェクト 運営事業者募集説明会】
・日時:2025年11月4日(火)18:00〜20:00
・場所:Resona Kawagoe Base+ コワーキングスペース(埼玉県川越市幸町4-1りそなコエドテラス3F)
・形式:対面開催
・参加費:無料
・主催:株式会社エンジョイワークス × 東武鉄道株式会社
・共催/協力:川越市
申し込みはこちら
https://ewform.enjoyworks.jp/index.php?id=1847

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そもそも「泊まれる蔵」って?
話せば長い…のですが、実は不動産を使ったクラウドファンディングの事業として2018年にエンジョイワークスが初めて着手したのが、この「泊まれる蔵」の事業。葉山のまちなかにある「蔵」の活用の相談を持ち掛けられたことからスタートしました。一棟貸しというテーマだけ決めて、インテリアや過ごし方など宿のコンセプトは参加型のワークショップで作り上げました。「The Bath & Bed」の名称のとおり、大きなベッドと大きなお風呂の宿に。私たちが運営するファンドサービス「ハロー! RENOVATION」の第1号案件として、資金調達しました。つまりは「みんなで作った泊まれる蔵」。現在は、コンセプトを共有しつつ、その蔵の風情を活かした「The Bath & Bed」が全国で展開中です。

川越の挑戦は、その新たな一歩。歴史ある蔵たちが、これからのまちの未来を照らす“灯り”となることを願っています。

The Bath & Bed Teamウェブサイト
https://bathandbed.team/

現在、全国6カ所で展開中の「泊まれる蔵」。梁や柱などその蔵の特徴を活かした内装が特徴

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