全国の地域が共通して抱える「空き家・空き店舗はあるが、利活用プレイヤーが不足している」という課題。物件を活用して開業した事業者が短期間で撤退してしまうケースは少なくありません。地域との連携不足、継続的な支援体制の不備、資金調達の困難さなど、事業者が孤立してしまうような環境が定着のハードルになっているようです。この根本的な課題を解決するための”プレイヤーをつくる”アプローチが「事業者育成型公募」。エンジョイワークスでは8月に自治体向けにこの「仕組み」を解説する説明会を開催しました。
「プレイヤーはつくるもの」という発想転換
従来、自治体や企業が行っている「公募」は、既に実績や経験のある事業者を募集することが一般的でした。「安定」はしているのですが、新規参入や挑戦的なアイデアを持つ人材が応募しづらいという側面も。また、採択後のフォローアップ体制が整っていないと、地域に根ざした事業継続が難しいという課題もあります。「事業者育成型公募」が焦点を当てているのは、発想を転換し、「プレイヤーをつくる」こと。具体的には、アイデアの種を持つ人材を発掘し、地域ぐるみで育成していく伴走型のプログラムです。細かい要項は設定せず、「参加しやすく・地域とつながる」仕組みを重視しています。
「まちあるき」「空き家リサーチ」などのフィールドワークをプログラムに入れています
説明会では具体例として、奈良県生駒市で実施している「いこみなチャレンジ」の取り組みを紹介。現在、プログラム進行中で、現地見学会やキックオフイベントには想定以上の参加者が集まっており、一次選考を進めているところ。地域の新たな担い手が生まれる「きっかけ」を自治体と共に創出しています。
【説明会アーカイブ動画】
「新しい公募」の形に興味を持ってくださった参加者の方々からは、具体的な導入に向けた質問がいくつか寄せられました。そもそも、「事業者育成型公募の骨子はどうやって(誰が)作るのか?」といったものや、「参加者はどうやって募集するの?」「イベント構成は?」など、少し前のめりな質問も。公募によってプレイヤーを「発掘する」だけでなく、自治体や地域の方々、金融機関・企業などさまざまな立場の人たちが「育成する」「継続させる」ことに関わっていくという視点が不可欠です。人材を「見つける」のではなく「つくる」という発想転換がひとつのポイント。この説明会を通して、そんな「仕掛け」が伝わっていると良いなと思います。
事業アイデアのブラッシュアップとプレゼンの場も。「やりたいこと」の思いだけでなく、事業計画にも伴走していくのがまさに「事業者育成」の肝
こうした取り組みの背景として、エンジョイワークスでは、全国の地域・自治体の「公的不動産・関係人口・人材育成・ファイナンス」課題を解決する官民共創メディアとして今年2月、「#自治体まちづくり共創研究所」を立ち上げました。「事業者育成型公募」のナレッジや、エンジョイワークスがこれまで自治体とタッグを組んで展開してきた事例も紹介中です。
■#自治体まちづくり共創研究所note
https://note.com/jichitaikyosolab
□メールマガジン過去記事より
「事業者を育成する?」まちづくりのプレイヤーを育てる仕組みとは/自治体共創CASE⑤全国で展開、事業者育成型公募
https://enjoyworks.jp/times/041/
地方創生の現場から―。「地域力創造アドバイザー」が拓くエリア活性のリアル
(今回のセミナーのスピーカー、エンジョイワークス事業企画部・彼末茂樹のインタビュー記事です)
https://enjoyworks.jp/times/163/