今年7月から続々と店舗がオープンし、注目を集める横須賀・田浦の「月見台住宅」。かつての市営住宅が、地域に開かれた“まち”へと生まれ変わろうとしています。その再生の過程を、住民や地域、そして投資家とともに楽しみながら進める月見台プロジェクト。その一環として、「月見台再生ファンド」投資家特典でもあるDIYワークショップを開催しました。
東京湾を臨む丘の上にある旧市営住宅団地「月見台住宅」は、2020年に廃止となった後、活用が模索されていました。高台に位置するこの住宅地は、眺望こそ抜群なものの、高齢化などで人が離れ、建物も老朽化。しかし今、この場所が新しい価値をもって動き出しています。「ヴィンテージ&クリエイティブ」――私たちが掲げた再生のコンセプト。職住一体の「なりわい住宅」として、飲食店やギャラリー、民泊、コンセプトショップなどなど、新たな“小商い”が生まれています。団地の一角には、サウナやランドリーなどを備えた共有スペースも。この場所に関わる人々が、暮らす・働く・遊ぶ…を自由に選択できる新しい場として機能し始めています。
今月初めに完成したサウナ棟。天空の“ととのいスペース”も。かつて廃墟と呼ばれた場所とは思えません
ただのリノベじゃない、「意味のある手仕事」
このプロジェクトの根底に流れるのは、「みんなで場をつくる」。入居者さんには、土間打ちや壁の断熱などのレベルに分けつつ、ほぼスケルトンの状態で引き渡し。自らDIYをしながら空間をつくっている人も少なくありません。各自、知り合い総出だったり、SNSで仲間を募ったり。壁を塗り、床板を張り、梁を磨き…慣れない作業に加え、暑さと格闘しながら、何もなかった場所に、ひとつずつ手を加え・手を動かしながら関係を育んでいます。
その延長線上として企画されたのが、DIYワークショップ。ただのリノベではなく、“共につくる”場――「月見台再生ファンド」の投資家に向けた特典のひとつとして実施しました。私たちがファンドを使ってプロジェクトを展開するのは、資金だけでなく「関わる人を増やす」「(この場に)関わり続ける人を増やす」ことにも重点を置いています。ファンドを通じてプロジェクトを応援している人たちも、まちを作る仲間。共用部として設けた「アップサイクル集会所」のDIYを体験してもらいました。投資したプロジェクトの“完成後”を知る機会を提供するのは当然ですが、どのように場が再生されているのか、ここに来ることはもちろん、中に入って一緒に場をつくることも、意義のある取り組みなのです。「リノベの状況、変化の状況などを見ることが楽しみ」と参加された投資家の方も。
「壁を塗るのは初めて」という方ばかり。場をつくる過程に自分が「居る」と言うのも特別な体験
月見台住宅のリノベーションは、単なる「建物の再生」ではありません。「DIY」という言葉には、作業やコスト削減のイメージがあるかもしれませんが、この場所では「Do It Yourself」ではなく、その間に“みんな”がある。「Do It With Yourself」なのです。木を切る音、釘を打つ音、壁を塗る音、笑い声。そんな“つくる音”が鳴り響く団地の風景。まさに、自分たちでこのまちの「未来」をつくる。それが、月見台再生のプロジェクトの真意でもあるのです。
まだまだ育つ「月見台」
月見台住宅は店舗のオープンが進んでおり、これからも多くの人と関わり、迎え入れながら、地域とのつながりも少しずつ編み直していきます。今回のDIYワークショップは、その変化の途中にあるひとつの風景。「団地」の持つ吸引力から築き上げた関係性と共に、新たな価値を生み続けています。投資家、入居者、地域、自治体が手を取り合い、一緒につくり上げる月見台。それは単なる住宅再生を超えた、人と場所が織りなす共創の物語なのです。
☆月見台住宅*ウェブサイト
https://tsukimidai.com/
☆月見台住宅*Instagram
https://www.instagram.com/tsukimidai_yokosuka/
見渡す緑と青がまぶしい月見台。少しずつ「まち」が動き出しています
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