人口減少、高齢化、空き家増加、財政難──。全国の自治体が直面するこれらの課題は、従来の行政主導のアプローチだけでは解決が困難な状況にあります。一方で、民間企業単独での取り組みとなると、公共性や地域住民との合意形成、長期的な持続可能性の確保に限界も。こうした状況下で注目されるのが、行政の持つ公共性と信頼性、民間の持つ柔軟性と事業性を組み合わせた「官民連携」という手法です。特に、地域の遊休不動産を活用したまちづくりにおいては、不動産の専門知識、事業化のノウハウ、資金調達力、そして何より地域住民との合意形成を丁寧に進める力が求められます。
創業以来「みんなでまちづくり」を掲げているエンジョイワークス。既存の不動産業の枠にとらわれない仲介や売買のスタイルを起点に、リノベーションや設計・分譲、遊休不動産の利活用、場の再生(場の運営)、ファンド資金調達の仕組みづくり…と気付けば「不動産事業領域の拡大」とともに、現場での実践で培った地域の課題解決のナレッジが積み重なっています。「みんな」とは、住民、自治体、その町やまちづくりに関心のある投資家、事業者、同業者…などひっくるめたもの。三位一体という言葉には収まらない「つながりの輪」の積み重ねには、常に「まちづくり」への熱意や共感の「仲間づくり」がありました。この「仕掛け」を自治体や官公庁に注目いただき、官民連携事業へとつながっていったのです。
■#自治体共創まちづくり研究所ウェブサイト(2025年2月スタート、官民連携の取り組みや制度・トピックを集めたメディアです)
https://note.com/jichitaikyosolab
これまで、私たちが関わってきた自治体を数えてみたところ、37ありました。一緒に事業を展開している案件だけでなく、連携やサポート、講座などその立ち位置は多岐にわたります。相談や聞き取りを含めると、この倍以上の自治体と出会っており、進行中のものも。例えば、福井県では、小浜市と協働で「空き家活用アイデアコンテスト」を開催。県と市が抱える空き家問題の課題周知と解決策の可視化を実現しました。空き家や空き物件を利活用する事業者を掘り起こして併走する「空き家再生プロデューサー育成プログラム」は、埼玉県川越市、山形県山形市、愛知県蒲郡市、福岡県うきは市、愛媛県内子町、福井県池田町など各地で実施しており、最近では奈良県生駒市で「事業者育成型公募プログラム」がスタートしています。私たちの本拠地・鎌倉市では、市有の遊休不動産を「企業研修所」として運営。企画段階から市民を巻き込んでコンセプトや利活用方法を策定したもので、ファンドを使った資金調達にも注目が集まりました。この場所は、官民連携による持続可能な公共不動産活用の先進事例として多くの自治体に視察いただいています。
先月スタート、奈良県生駒市とタッグを組んだ「いこみなチャレンジ(事業者育成型公募)」https://enjoyworks.jp/times/199/
地域課題と私たちのソリューションを掛け合せることのできる場所であれば、どこへでも。「不動産業」の専門性を絡めた三重県南伊勢町での取り組みは、私たちの包括的なサポート体制が特徴。当時、不動産事業者のいなかった海辺の小さな町で、空き家再生のプロデューサー育成のほか、官民連携のまちづくりに欠かせない中間支援組織の構築支援も並行して携わりました。不動産実務面などをサポートしたうえで、その自走体制も整備しました。和歌山県紀の川市では、2022年から地域活性化起業人制度と地域おこし協力隊制度を活用し、3ヶ年計画で空き家活用モデル事例の創出に取り組み中。定住人口・交流人口増加を目指した地域内伴走型の支援を展開しており、ほかの自治体でも地域活性化起業人の派遣をすすめているほか、地域力創造アドバイザーへの登録など、自社の「まちづくり人材」活用も特徴的かもしれません。
古い建物をリノベして再価値化する、地元の方の挑戦に伴走する、新たな観光スポットを創り出す、自治体と一緒に活性化を考える…官民連携でさまざまなストーリーが生まれています
いま、自治体や企業などからの視察や問い合わせが集まっているのが、横須賀市での旧市営団地再生事業。築60年超の平屋団地を「なりわい住宅」として町ごとリノベーションする官民連携の取り組みです。自治体・地域住民・入居者・イベント参加者・投資家(投資企業)がまちづくりの「みんな」となったプロジェクトです。
これらの全国の各自治体との連携において、私たちが大切にしてきたのは、画一的なソリューションの提供ではなく、それぞれの地域の特性や課題に応じたオーダーメイド型の支援。民間に求められている「柔軟性」と「事業性」そのものと言えるかもしれません。地道な積み重ねを、真の地域再生に。私たちは今後も地域に寄り添い、ともに築いてきた官民連携のネットワークを基盤に、さらなる地域活性化のモデル創出に挑戦していきます。
■共創の現場を巡り、新しい価値づくりの仕組みに触れる「エンジョイワークス視察ツアー」
https://enjoyworks.jp/tour/
◼️自治体向け 事業者育成型公募導入説明会(オンライン開催)
地域に活用したい空き家や公的遊休不動産がある、地域に事業者がいない、有効な空き家対策を探している…そんな課題のある自治体の悩みを解消する「伴走型支援」のプログラムを紹介します。
開催日時:8月27日(水)13:30〜15:00、参加無料
申し込みウェブサイト
https://ewform.enjoyworks.jp/index.php?id=1809
*お申し込みいただいた方に、事前にURLをお送りします
昨年は自治体との連携や協定も多数。左から和歌山県紀の川市(地域再生推進法人の指定)、真鶴町(包括連携に関する協定)、横須賀市(田浦月見台住宅の活用に関する実施協定)
2025/07/29
2025/08/05