家づくりの主役は、設計士でもハウスメーカーでもなく「暮らし手」自身──このシンプルで力強い思想から、2014年に湘南・葉山で1棟目の「THE SKELETON HOUSE(スケルトンハウス)」が生まれました。エンジョイワークスが提案したのは、「完成させない」家。頑丈な木造フレームと、潔くシンプルな箱型の外観だけを先に仕上げ、内装や間取りといった“暮らしの中身”は、あえて未完のまま残しておく。それはつまり、住む人が時間をかけて手を加えながら、自分らしい居場所を育てていける「余白」を設計に組み込むという発想です。完成形が一つとして同じにならない──そんな住まいが生まれ続けることで、まちに多様な個性がにじみ出ていく。この柔らかなコンセプトこそが、スケルトンハウスの原点であり、湘南という土地の風土にも不思議と調和しています。
THE SKELETON HOUSEウェブサイト
https://theskeletonhouse.com/
そこから10年あまり──湘南で静かに始まったこの動きは、今や全国に120棟を数えるまでに広がりました。気候も文化も異なる土地で、「家=暮らしを体現する場所」と捉える住まい手たちが、それぞれの物語を紡いでいこうとしています。それは、大手住宅メーカーが造成する一括分譲とはまったく異なるもの。ひとつひとつの出会いに向き合い、その土地と人の関係性から生まれる“住まい方”をていねいに育んできた──いわば、点と点を線で結ぶような歩み。その歩幅の「ゆっくりさ」は、むしろ確かさの証しかもしれません。一棟一棟の裏には、建てる前の迷いやこだわり、実際に住み始めてからの発見や変化が折り重なっている。家を“人生の一部”として編集する楽しさや覚悟が、自然とこの家のファンを生んでいます。
葉山からスタートして、湘南では約100棟。「この町にもスケルトンハウスがあったらな」と思ってもらいたい!
そして、見た目にも印象的なスケルトンハウスの“顔”。それは、ただ「シンプル」と言ってしまうには物足りない、木の質感を活かした“潔い外観”です。杉板を鉄さび塗装で仕上げ、どこかクラフト感のある存在。窓や庇、バルコニーの配置は住まい手の生活スタイルに応じて変わるため、どの家にも共通する骨格がありつつ、表情はひとつとして同じではない。町並みに並ぶとき、それぞれが景観に自然と馴染みながらも、不思議とアイコニックな存在感を放ちます。
しかもこの家は、建てた後からが本番です。杉板の外壁は年を重ねるごとに色を深め、味わいが増していく。いわば“経年美化”する素材。これにより、定期的な塗り替えを必要とせず、手間をかけすぎずに美しく熟成していきます。住まい手が内装を育てるあいだ、外観もまた町の空気を吸い込み、ゆっくりと変化していく。スケルトンハウスは、家というより“風景になるプロセス”を楽しむ建物かもしれません。
内装も間取りも120棟あれば120通り。まさに「自分だけ」「自分色」。ライフスタイルに家を合わせていくような形
太陽光発電と一体型の三角屋根バージョンが誕生したのも、「住宅とくらしのこれから」に応えるため。屋根形状の工夫、断熱性能の向上など、骨格や思想を守りつつアップデートしていける仕組みが用意されています。余白があるからこそ、変われる・続けられる・育てられる。そんな「スケルトンハウスがある町」を増やしていく。私たちなりの歩みで、その「点」を全国へさらに広げていきたいと思っています。
スケルトンハウスを配置した「エンジョイヴィレッジ」の詳細はこちら
https://enjoy-village.com/
■スケルトンハウスの設計士へのインタビューメルマガ記事
スケルトンハウスの「悦」って? “自分が自分らしく” 居られる場所を「自分」で作る!
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スケルトンハウス完全解説!可能性を育てる住宅を大解剖
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