都市か地方か。定住か旅か。二者択一では測れない、けれど確かに惹かれる場所がある。神奈川県・横須賀市の西端に位置する海辺のまち、秋谷もそのひとつです。「南葉山」と名付けられたマンションもあり、かつては「葉山の南にある(実は横須賀市の)小さな町」という存在感でしたが、ここ数年「秋谷ってなんかいいよね」と、注目する人が増えています。観光地でもベッドタウンでもない。だけど、確かに人を惹きつける“間(あいだ)”の魅力がある――。
西側には相模湾、「三浦半島の見晴台」と言われる大楠山のふもと。海と山に囲まれたこの土地は、都市部とのアクセスも悪くなく、近年、アーティストやデザイナー、フリーランスなど、場所に縛られない働き方を選ぶ人々が移住し、自宅に工房やアトリエを構えるなど、自分のリズムを大切にした暮らしが育ちつつあります。コワーキングスペースやシェアオフィス、地産地消のカフェなどが交流の場となり、働き方やライフスタイルを柔軟に捉える人々の拠点も生まれています。「開発」という言葉は似つかわしくなく、外からの新しい風と内にある土着の営みが重なり合い、新たな地域のかたちが芽生えている…とでも言えるでしょうか。「知る人ぞ知る」から、エリアのポテンシャルに気づいた人が「ゆるやかに馴染む」町に。
青と緑。そのバランスも「ちょうどいい」秋谷。都心から1時間の距離でこの開放感
私たちエンジョイワークスも昨年から、その秋谷のちょうど真ん中にあたる場所「Soil work Akiya Village」に、オフィスを構えています。不動産事業者として…というよりもむしろ、仲間とつながっていたら、ここにたどり着いていたというのが実際のところ。もっと秋谷のこと知っていたい、知ってほしい、共有したい、伝えたい――そんなことを思うようになりました。
「AKIYA NEUTRAL」。秋谷の今を分解すると、「NEUTRAL」という言葉で表せるのではないか? そんなことを考えました。居心地がよく、多様性を受け入れる土壌とバランス感があって、新しい価値を生み出す可能性を秘めている町。秋谷という地域の風土や暮らし、人々の声を通して、都市と自然の“ちょうどいい関係性”を探る新しい試みとして、私たちは月刊のタブロイド紙「AKIYA NEUTRAL」を創刊しました。
SNS全盛の時代に「紙」の手触り。創刊1号のタイトルは「輪郭のない広がり」
これは、不動産やまちづくりといった従来の文脈だけにとどまらない、「場所と人と価値観」の接点を探る実験です。秋谷に暮らす・関わる人、時間、空間、そしてこの町での「気分」。それらを立体的に編集・発信するメディアに。“まち”を再発見することは、私たち自身の暮らしや価値観を問い直すことでもあります。『AKIYA NEUTRAL』を通して、「こんな場所があるんだ」「こんな生き方もいいな」と思ってもらえたら。小さな海辺のまち・秋谷の静かな息づかいが、これからのライフスタイルのヒントになるかもしれません。
■「AKIYA NEUTRAL」Instagram
https://www.instagram.com/akiya_neutral/
■秋谷関連の過去のメルマガ記事はこちら
▽秋空の下、秋谷で思ったこと。ワークライフハーモニーを奏でられる場所で/モノクローム代表・梅田優祐さんインタビュー①
https://enjoyworks.jp/times/114/
▽つながりとアイデアを創出する場。みんなで共有、「秋谷っていいね!」
https://enjoyworks.jp/times/108/