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リノベ再生×買取再販×投資で「団地をぐるぐると回していく」!?

Feature Project 公開日:2025/06/03

昨年夏、エンジョイワークスが初めて手掛けたジャンルの事業があります。それが「団地一室の買取再販」。国内の住宅事情の変遷の中で、団地は1960〜70年代の大量住宅供給期に生まれた社会インフラです。特徴の一つは立地の良さ。駅から徒歩圏内に整備されていることが多く、通勤・通学に無理のない距離感。加えて、広々とした敷地に緑地や公園などがあり、「まちと自然との共存」というランドスケープも持ち合わせています。さらに、階数が低く、戸数も比較的少ないことから、顔の見える緩やかな関係――コミュニティが自然と育ちやすい。「暮らしと地域のつながり」による豊かさがあります。つまり、団地は「古い住まい」ではなく、「見直されるべき住まい」です。とはいえ、高齢化や間取りの需要変化など、空き部屋の多い団地も少なくありません。

エンジョイワークスの明舞団地(兵庫県神戸市垂水区)買取再販プロジェクトは、築50年以上の団地の一室を買い取りし、リノベーション。これを売却(再販)することで、空き物件の活用と団地の活性化を目指すもの。その「リノベ」自体も、間取りの変更や水回りのアップデートだけでなく、断熱性能アップなど住宅としての「住み続ける」機能も高めています。さらに、事業資金の調達にもポイントがあります。再販で得た収入を投資家に配当する「キャピタル型」のファンドを使うことで、「お金を有効に回す」。つまりは、団地(住居)改装も再販も資金を「ぐるぐる」と循環させる。

事業者側は融資や自己資金の調達ではなくファンドを活用することで、まとまった資金を用意することができる。そして機能をアップデートした住居が増えることで、団地そのものの価値も上がるし、新しい住民が入って団地の活性化にもつながる。どの立場の人にもメリットがあり、投資機会と地域活性化の両立を目指す先進的な取り組みです。実際に、明舞団地の物件は、リノベの志向に共感してくださった方にご購入いただき、投資家の方々にも無事に元本を償還することができました。試行錯誤でしたが「団地一室買取再販」の事例の実績を作ることができました。この夏、今回と同じ明舞団地で、第2弾のプロジェクトを企画中。千里の道も一歩より。これを積み上げてこの町で「令和らしい団地暮らし」のカルチャーが広がるといいなと思っています。

キッチンまわりの前(左写真)と後。同じ空間とは思えない“変身”がリノベのおもしろさ

不動産業の「つなぎ手」から「つくり手」へ

実は、買取再販と言う手法は、現在の住宅流通の中で、中古住宅市場を活性化させる重要な役割を担っています。新築偏重だった日本の住宅市場において、ストック型社会への転換が求められる中で、この事業はますます注目されています。「眠っている住宅資産」に手を加え、新たな価値を与えて再流通させるという意味で中核的な役割を担っており、社会的意義のあるビジネスとして評価されています。

従来の不動産業は、売主と買主の間に入る「仲介業」が主流でしたが、買取再販事業では、不動産会社自らが仕入れから企画、施工、販売まで一貫して担うケースが多く、事業の主体性が高まっています。これはつまり、「流通の仲介者」から「住宅のプロデューサー」へと進化しているということ。特にデザイン・マーケティング・地域との関係構築といった、従来にはなかった要素が必要とされており、時代に即した企画力やブランディング力が問われる領域なのです。

そこで、私たちは買取再販の知見や可能性を、より多くの事業者と共有するため、事業者向けのオンラインセミナーを企画しました。ずばり、タイトルは「はじめる。続ける。スケールする。ローカル協業で突破する 買取再販の壁」。団地の事例以外にエンジョイワークスが手掛けた買取再販を例に、事業展開の手法を考えていきます。

写真は静岡県掛川市の買取再販プロジェクト物件。希少かつ人気な「平屋」。中古市場だからこその選択肢

イベント詳細はこちら
https://atarashi-fudousan.jp/properties/462

■概要
日時:2025年6月16日(月)19:00~20:30
方式:オンライン(お申込みいただいた方に、Zoomリンクなど詳細をお伝えします)
【第1部】買取再販をはじめるために
資金調達の壁を越える、掛川の実践
・登壇:不動産Mick × エンジョイワークス
【第2部】買取再販を継続・スケールさせるために
選ばれる物件をつくり、地域で持続的に事業展開していくには?
・登壇:エイトデザイン × 不動産Mick × エンジョイワークス

■登壇者
・馬渕健氏(不動産Mick 代表取締役)
・上坪文哉氏(エイトデザイン株式会社 代表取締役)
・彼末茂樹(株式会社エンジョイワークス事業企画部)
■司会・ナビゲーター
・#新しい不動産業研究所所長 矢部智仁

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