不動産・建築設計・場の再生、そしてファンド運営…いわゆる「不動産領域」を拡大し続けているエンジョイワークスの大きな特徴は「仕掛けを自分たちで作って・創っている」ということ。それを下支えしているのがシステム開発部のスタッフたち。家づくりや住まい方を提案するサイト「ENJOY STYLE」や設計に関するウェブサイトやアプリ、ファンド運営のシステム、宿泊施設の管理システム…などなど、機能をアップデートしながら、システム化・DX化に頭を使っています。その「頭脳」のひとり、同部の大村俊輔に注目の事業「AKIYA Revolution」への思いや「エンジョイ的ライフスタイル」をインタビューしました。(聞き手:ENYOYWORKS TIMES 佐藤朋子)
――いわゆる「湘南移住組」と聞きました。鎌倉に住もうと思ったきっかけは?
「なんでエンジョイワークスに入ったの?」と聞かれたら、僕はまず「近所だったから」と答えるかもしれません。正確に言えば、地域の中での偶然の積み重ねの先に自然とたどり着いた、という感じでしょうか。以前は都内で暮らしていて、東京駅の近くで働いていたんですが、ある時、逗子に住んでいた後輩から「BBQしよう」と誘われて。逗子海岸で集まったその日、「え、ここって都内から1時間で来れるの?」と驚いたんです。都内で働きつつ、こんな場所に住めるなら最高だな、と。もともとサーフィンに憧れがあって、でも都内にいたら始めるきっかけがなくて。もし家の前が海だったら、きっとやるだろうな。そんなことを思いながら、少しずつ「湘南(鎌倉)に住む」というハードルが下がっていきました。そのうち、ITの仕事をしながら海辺の暮らしを楽しむ自分の姿が、リアルに想像できるようになったのです。
――エンジョイワークスに入社した決め手は?
当時はWeb系の仕事をしていて、ガラケー時代のWebアプリから、大企業の業務システムやゲーム関連のバックエンドなども手がけていました。念願の移住後は、しばらく都内に通っていたのですが、「そろそろ本格的に鎌倉で働きたい」と思うようになっていたころに、由比ヶ浜通りを歩いていて、ずっと気になっていた建物に、「フロントエンドエンジニア募集」の張り紙が出ていたんです。それがエンジョイワークスでした。てっきり建築設計事務所だと思ってたのですが、調べてみたらクラウドファンディングやウェブサービスを扱っていて。僕はフロントエンドエンジニアではないのですが、説明会に参加してみると、自分が「やりたい」と思っていたことと、福田さん(代表)が話しているビジョンがすごく重なっていて。「ここなら、やってみたいことに挑戦できそう」と思えたんです。
最初はウェブサイトの保守でもいいと思ったんですが、ありがたいことに「できそうならどんどんやっていいよ」というスタンスだったので、気づけば物件レコメンドエンジンや、LINEを使ったファンドのレコメンドシステムなど、いろんなプロジェクトに関わるようになりました。そして、昨年から時間をかけて手掛けているのが、「AKIYA Revolution」の開発です。このサービスでは、空き家に関する膨大な情報をもとに、ある住所を入力すると、その物件に合った事業をレコメンドする仕組みをつくっています。不動産DXの観点から、地域の人流、アメニティ、駅距離や施設運営に関するさまざまなデータを集約し、統計的に処理して活用していくもの。世の中に散らばっているバラバラな情報を整理して、付加価値を与えられたら、ユーザーにとって役立つ形にできたらおもしろいし、会社としての価値も上がるなと感じています。まずは「これを使うと自分たちの仕事がどう変わるか?」という視点が大事で、プログラマーだけじゃなくて、営業や設計などいろんな職種の視点も取り入れながら、社員同士で情報を共有していくことを意識しています。ありがたいのは、提案を頭ごなしに否定されることがなくて、「まずはやってみよう」「“動く”ものをつくってみよう」という雰囲気があるところ。自分のアウトプットが会社に受け入れられていく感覚があって、それがやりがいにもなるし、同時に責任も感じています。
AKIYA Revolutionに関するプレスリリース
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000027.000061795.html
「AKIYA Revolution」のイメージ図。ありそうでなかった…不動産(空き家)のDXサービス
このプロジェクトを通して、外部のデータサイエンスの研究者や事業者に関わることで、自分の立ち位置を客観的に見ることができて、派手ではないけれど「業務が確実に楽になる」「需要に応えられる」という手応えがあります。エンジョイワークスの面白いところは、単なる実装で終わらず、マーケティングチームと連携して「どうやったら使ってもらえるか?」まで一緒に考えられること。データ分析も、数字の裏側にあるストーリーまで掘り下げられるのも社内で連携している強みかもしれません。
僕はもともと面倒くさがり屋なので「プログラミングで世の中をちょっと楽にしたい」という思いがあって、この道に入ったのですが、このプロジェクトはまさにそれを実感できるもの。不動産業界は、まだまだアナログな部分が多いけど、混沌としたデータを整えて付加価値をつければ、ユーザーも事業者も“判断しやすくなる”し、余計なミスマッチも減るんですよね。いわゆる「AIの冬の時代」を知っている世代としては、今のようにAIを通じてデータの価値が再評価される時代が来るなんて正直驚きです。だからこそ、きちんとデータに“付加価値を与える”を積み重ねて、活用の先にある面白さや価値を伝えていくのが、今の僕の役割だと思っています。将来的には、AIをプロジェクトマネージャーの“部下”のように動いてくれるAIエージェントを導入できたらいいな、なんて妄想しています。
――鎌倉での暮らしや、働き方のスタイルについてはどうですか?
鎌倉で暮らしはじめて、もうすぐ10年。システム開発部は在宅と週1回の出社という勤務形態です。たまに朝6時台に海に出てサーフィンをしてから仕事を始めたり、夕方の散歩を楽しんだり。時間の流れがゆるやかで、自分の体と心のリズムにフィットする感じがしています。都心の生活にある便利さや効率だけじゃなくて、「ちょっとした無駄を楽しむ」感覚がある。それがこの土地の魅力かもしれません。なんでも、すぐに効率化やタイパになりがちですが、無駄って実は贅沢で、おもしろさの源でもあると感じていて、鎌倉で暮らしてエンジョイに入って、働き方やライフスタイル・価値観も変わったように思います。
移住した当初は“東京から来たお客さん”感が強かったけれど、町の人たちと関わっていくうちに、少しずつ“こっち側”の視点を持てるようになりました。観光では見えてこない景色があるし、日々町が変わっていく様子を身近に感じられるのは、この土地で暮らしているからこその醍醐味です。
上記は長く携わっている「ハロー! RENOVATION」のトップページ。システム開発部が手掛けた投資家分析などのシステムやツールを現場担当者が活用していく。そんな社内連携で事業をボトムアップしている