自治体が保有する公共施設のうち、「遊休不動産」となっている物件を、自治体視点で大きく4つに分類してみましょう。①すぐに(短期的に)活用される計画があるもの ②今後どう使うか検討中のもの、中長期的な検討はされているが具体化されていないもの ③法的課題などがあって活用予定が未定、もしくはしばらく利用見込みがないもの ④法律や条例などの制度・制限によりすぐには動かせないもの――限られた人員・予算の中でそうした遊休不動産をトリアージ(優先順位づけ)し、「どの物件をどのタイミングでどう再生・活用するか」を検討しています。使っていない遊休不動産も、維持や管理には税金が使われており、治安や景観、地域活性などの観点からも優先順位付けをしたうえで、利活用を進めているのです。
①の「直近で活用の計画が進んでいる案件」は、全国の「公共遊休不動産」のうち約3割程度と言われています。逆に言えば、約7割が活用されていない状況にあります。所有者は自治体なので、住民は「行政が何とかしてほしい」と思うのも理解できますが、利活用のメニューをたくさん持ち合わせているわけではなく、土地や建物を入札などで売却するにしても、条件の設定や手続き作業に時間がかかることが多く、迅速に対応することが難しいのが現実です。
そんな中、中国山地の深い緑と澄んだ水に囲まれた広島県安芸太田町で始まった「龍頭ハウス」のプロジェクトは、まさにこのような遊休不動産の再生に新たな可能性を見出し、実行に移している事例です。観光と暮らしが交差するこの町にある「龍頭ハウス」は、町が合併する前の旧筒賀村時代(1996年)に開業した旧町営保養所。2017年に閉館し、その後は活用方法が見出されないまま、時間が過ぎていました。そこで、この物件の再生に手をあげたのが、広島県内で宿泊施設の運営実績を持つグローバルリゾートレジデンスとエンジョイワークスです。
渓流沿いにある山小屋のようなロッジを「森林リトリートの観光拠点」に改修する計画で、このプロジェクトは、事業者の公募などではなく、町に直接「(物件を)購入して使いたい」と提案したもの。町側は「活用してもらえるならありがたい」と、民間のチャレンジを尊重する立ち位置。埋もれている公共の「遊休不動産」を掘り出し、その立地や建物の付加価値を再構築していく。そこには、地域資源の活用や観光誘客のコンセプトも組み込まれています。自然資源を活用した持続可能な地域づくりを目指す町とも歩調を合わせています。新しい形の官民連携と言えるのではないでしょうか。
改修前、現在の「龍頭ハウス」。赤い屋根が特徴の“ロッジ”
積極活用の計画がない遊休不動産にこそ、民間のアイデアを!
一般的に、官民連携と言うと、行政が規制緩和やインフラ整備を担当し、民間が新しい事業展開やイノベーションを提供するという構図です。特定の物件を対象にした「民間提案型」のコンペや公募も近年増えていますが、前述の通り、自治体が想定する利活用の枠に収まらない「眠っている遊休不動産」には、大きな可能性が眠っているのです。
今回の取り組みは、「自治体がプロジェクトを主導する」という従来の図式とは一線を画し、「民間が地域資源を見出し、提案し、自治体がそれを受け入れ、共に形にしていく」という柔軟な関係性からスタートしています。地方創生という言葉があちこちで聞かれる昨今、このような民間主導・自治体協力のモデルは、今後ますます必要とされる形かもしれません。
現在、資金調達のファンドを募集しているところで、改修完了後の施設運営にとどまらず、周辺地域との連携や持続的な観光動線づくりなどにも取り組んでいく予定です。「空き家」や「遊休不動産」といった地域の課題を「資源」に変えていくチャレンジ。龍頭ハウスをきっかけに、地域の未来がまたひとつ、動き出そうとしています。
広島県内で最小人口の安芸太田町。町の8割以上が森林で「森林セラピー基地」として発信しており、龍頭ハウスもその拠点として活用の期待が高まっています
安芸太田町の観光発信ウェブサイト「あきおおたから」https://cs-akiota.or.jp/
【広島安芸太田町リゾート再生ファンド】
自然豊かな広島県の秘境でリトリート宿泊施設を再生
プロジェクトとリスクの詳細はこちら
https://hello-renovation.jp/renovations/25917
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株式会社エンジョイワークス
不動産特定共同事業者[金融庁長官・国土交通大臣 第114号]
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2025/04/29
2025/05/06