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身近にある小さな公共施設こそ、「産」「官」「学」「金」の連携で!

自治体共創 公開日:2025/02/04

全国の自治体がそれぞれ抱えている公共施設。それらの延床面積で言うと、市庁舎や大学などの学校施設、ホールなど大きな規模のものは全体の10%。一方で、それよりも少し小さい規模の小中学校施設などは30%、さらに地域ごとにある公民館や集会所といった類のものは半数の50%くらいを占めているといいます。つまり、自治体が管理運営している公共施設の大半は、比較的規模の小さい建物ということ。生活に近い場所にあることも多いのですが、人口減や建物の老朽化によって、存続検討(廃止や統合)の対象になりやすいという側面もあります。廃止などで使われなくなっても建物は残っている訳で、遊休不動産(負動産?)と名を変えて、自治体が維持や管理を担い続けることになります。

新たな活用策があっても収益を生むとは限らず、また、住民の愛着が強い施設の場合は、廃止に反対意見が出やすいもの。そもそも、利用者減が廃止の理由だと、民間への売却・活用が進みにくいケースも。用途変更や改修に法的制約があると、新たな事業者誘致も難しく、進むも引くも課題だらけにみえます。住民側にとっても関心の高い、建物たちの「これから」。自治体だけが頭を使うのではなく、民間企業や住民が連携して維持管理の負担を抑えつつ活用が可能な方法を探る…「地域に必要な機能を生み出せるか」という議論に転換させていくことが求められています。

「小さい」ことがポイント!

そんな中で注目されているの「スモールコンセッション」という手法。自治体や公的機関が所有する小規模な公共施設や公園・公民館・駐車場などの運営を、民間事業者に付与して、一定期間の管理・運営を委ねる仕組みです。近頃、さまざまな自治体で導入されているPPP/PFI(行政と民間が協力して公共サービスやインフラを提供する、民間が資金調達まで行う事業)のいわば小規模版。単に物理的な大きさだけでなく、より機動的で柔軟な運営を可能にする概念という意味でも使われていて、自治体も民間事業者も参入しやすく、地域のニーズに応じた利活用策を進められるというメリットがあります。

出典:国土交通省/令和6年6月策定「スモールコンセッション推進方策」より

具体的な事例としては、「廃校をグランピング施設やコワーキングスペース、地産地消の発信拠点に」「市が住民から寄付された町家群をホテルに」など。それぞれの自治体が抱えている課題に対するアイデアや機動力、(そして資金調達)に民間事業者の活力を最大限に活用している形です。

出典:国土交通省/令和6年6月策定「スモールコンセッション推進方策」より

国もこのスキームを広げるべく、昨年12月に「スモールコンセッションプラットフォーム」を設立。単独では難しい公共施設の利活用や地域活性化に「産官学金」で連携しようというもの(産:企業/官:自治体/学:大学など研究機関/金:金融機関)。会員の産官学金は約870団体。手続きの簡素化・円滑化、官民のマッチング機能の強化、モデル事業への支援等を通じた案件形成を促進にも力を入れています。

エンジョイワークスもこのプラットフォームに参加しているのですが、実は、「スモールコンセッション」という言葉が出てくる以前から、自治体の遊休不動産の活用を手掛けています。鎌倉市の「旧村上邸―鎌倉みらいラボ―」や横須賀市の「ジハングン」など、物件の新たな活用アイデアをもとに、運営や運用を進めています。また、進行中の事例で言うと、真鶴町(神奈川県)では旧邸宅利活用事業も。地域の方々の思いや意見、アイデアを「会議形式」で集めながら、「これから」を一緒に考えていくという取り組みです。建物規模はとても小さいのですが、地域が求める機能とは? 建物を残す手段は? …そんな課題に膝を突き合わせて話し合い、次の道筋を探っているところです。

エンジョイワークスが手掛けている「スモールコンセッション的」事業

「スモール」だからできること。これにはまだまだ可能性がありそうです。小さな取り組みの積み重ねが地域の面的な意識の変化を生み、大きな「活力」になるといいなと思っています。

国土交通省による公開イベント
事例から学ぶ「スモールコンセッション実践セミナー」の参加者を募集します!
~廃校や古民家の活用事例を官民双方の視点から解説~
https://www.mlit.go.jp/smcn/

■開催概要
日時:2月21日(金)9:45~12:00
会場:オンライン(Zoomウェビナー)
参加無料
■プログラム
・スモールコンセッション推進に向けた関連支援施策等の紹介
・事例から学ぶスモールコンセッション(廃校活用と古民家活用)
■申込フォーム
https://forms.office.com/e/Bra779Dyi5
申込締切:2月14日(金)17:00 ※定員制限なし

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