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葉山の皇族別邸が伝える「遺産」を、守り・未来につなげる「応援」のカタチ

Column  公開日:2024.12.24

明治から昭和初期にかけて、湘南エリアに多数建てられた「別荘」。政治家や財界人、軍人、文豪、芸術家と、さまざまな方たちが温暖な気候と眺望を求めてこの地に訪れました。その最たる例が葉山御用邸。葉山町には、最盛期に御用邸を含めて五家(有栖川宮・北白川宮・東伏見宮・高松宮・秩父宮)の別邸があり、皇室・皇族の避暑地・避寒地として選ばれた地域でもあるのです。

横須賀にある海軍(横須賀鎮守府)に属していた東伏見宮依仁親王が別邸を設けたのは、御用邸から歩いて30分ほどの場所(現在の名称は、旧東伏見宮葉山別邸)。竣工(1914年)から110年、御用邸以外のほかの四家の別邸が解体などにより現存していない中で、唯一残る建物です。外壁はドイツ下見板張りという工法で、石積みの基礎、鎧戸付きの上げ下げ窓、寄棟の大屋根などが相まって、堂々とした風格ある白い外観から「カサブランカ(白い家)」と呼ばれていたとか。宮内省内匠寮技師の木子幸三郎が手掛けたこの洋風邸宅には、内装はもちろん、調度品にも皇族別邸の面影があります。

外観の意匠図(写真左)からも気品のある佇まいがうかがえる

東伏見宮の家紋は宮家共通の「十四葉一重裏菊」。現在、この別邸で見られるのは「三ツ割」の十四葉一重裏菊と言われるもので、依仁親王の父、小松宮彰仁親王の小松宮家の家紋という説もあるそう。和室と洋室を備えた天井の高い和洋折衷の2階にあるふすまの引き手や釘隠し、ペンダントライトなどに菊花紋があしらわれています。別邸の館内には、100年余り前の親王の佇まいが今も残っているのです。

菊の花文様が調度品に。ベッドルームのライト(写真右)にも三ツ割の十四葉一重裏菊が

このほかにも、フロアを取り囲むように設けられた外廊下(サンルーム)や重厚な階段の手すり、三階塔屋につながる鉄製螺旋型のタラップなど、そこかしこに気品を備えた意匠があります。戦後、イエズス孝女会が譲り受けて管理運営しており、いまに至るまでに、取り壊してRC造とする計画もあったそう。1980年代には、建築家・長島孝一氏の提案を受けて、屋根、外壁等の大規模な修復や水回りの改修が行われたとの履歴があり、時代を経てなんとか守り継がれてきた経緯があります。そして令和の今。歴史ある建物を遺したいという「思い」だけでなく、その意匠を伝えていくために地元有志が立ち上がり、今年の夏、保存と利活用のための一般社団法人を設立しました。それが、(一社)La Casa Blanca Hayama。管理運営を引き継ぎ、改修工事や今後の利活用などの計画を策定し、12月から寄付と出資による資金調達もスタートしています。

一般社団法人La Casa Blanca Hayamaウェブサイト
https://lcbh0701.wixsite.com/lcbh0701

旧東伏見宮葉山別邸寄付特設サイト
https://congrant.com/project/lcbh0701/14275

これに合わせて、12月初旬に急遽実施した現地見学会には、「歴史的な近代建築を一目見たい」「皇族の邸宅に興味がある」「どのように利活用されていくのか知りたい」などと、県内外から約100名の方が訪れました。その関心の高さに主催した私たちも驚きました。

竣工から100年超の建物、それも旧皇族の別邸が、どのように継がれていくのか。これは、過去からの問いかけであり、未来につなぐ私たちの宿題。「#ベッテイを守ろう」。共に考え、それぞれができる形で保全や利活用を後押しする。――そんなムーブメントになることを期待しています。

文化庁「文化遺産オンライン」ウェブサイト(旧東伏見宮葉山別邸紹介ページ)
https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/274702

依仁親王の肖像写真。海軍軍人として、横須賀鎮守府の司令長官も務めた

「旧東伏見宮葉山別邸ファンド」の投資説明会開催中!
https://hello-renovation.jp/news/detail/25347
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※事業の状況により、利益の分配が行われない可能性及び返還される出資金が元本を割る可能性があります。リスクの内容や性質はファンドごとに異なります。詳しくはハロー!RENOVATIONの「ファンド情報」から内容をご確認頂き、当該ファンドの匿名組合契約書、契約前交付書面、契約時交付書面等をよくお読みください。
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