京都・鴨川の近くに位置し、市内でも風情のある町並みや古い建物が残る通称「五條楽園」。格子窓や装飾的な階段などかつての遊郭時代の特徴を持つ建築が今も数多くあります。そんなこの地で2019年末に開業したのがUNKNOWN KYOTO。遊郭建築の意匠を活かし、歴史的な要素を尊重しながら現代的なデザインも取り入れてリノベーションした空間で、ゲストハウス(宿泊)、コワーキングスペース、カフェ・レストランなどの多目的施設に再生しました。
当時、私たちエンジョイワークスが「京都にも拠点(つながり)を作りたい」と、“面白いことをしている人たち”を探し歩いている中で巡り合ったのが、町家再生を多く手掛けている地元の老舗不動産事業者、株式会社八清さん。「何か一緒にやりたい・やれそう」と、まずは思いを語り合うことから両社の付き合いがスタートしました。これに人気不動産メディア「物件ファン」を生み出した株式会社OND(オンド)にも声をかけて、「みんなでまちを豊かにする物件を空き家からつくろう会議」を開催したり、「共創による場づくり、まちづくりの可能性」をさまざまな角度で議論したりしたのが始まり。この建物自体は、八清さんの賃貸物件サイトに掲載されていたもの。「おもしろい居場所をみんなでつくろう!泊まって食べて働く京都のコリビング!」をテーマにプロジェクトがスタートしたのです。
リノベーションは、和洋交じった独特な遊郭建築の意匠と京都で作られた近代美術工芸の「泰山タイル」などの細かなデザインを活かしたもの。資金は私たち「ハロー!RENOVATION」を使って調達しました。開業はコロナ禍のタイミングで、すんなり軌道に乗った訳ではありませんでしたが、「1社だけでは実現が難しかったと思う。それぞれに強みのある3社だったから乗り越えられた」「共創によって違った視点が混じり合うことで、新しい景色が見ることができた」と、UNKNOWN KYOTOという名称を編み出した当時の担当者。仕事ができて・宿泊できて・レストランでご飯を食べられる。利用者からも「元遊郭の名残がある部屋配置や趣深さで、とても楽しい滞在でした」「古さを生かしたオシャレなインテリアが素敵。コワーキングスペースも居心地がよかった」「設備も滞在する者の身になって考えられていて、また来たいゲストハウス」など、“ここだけの体験”を持ち帰っていただいています。
UNKNOWN KYOTOウェブサイト
https://unknown.kyoto/
気付けば…エリア再生の「種」を撒いていた
開業から今年で5年目。このプロジェクトに触発されて、同エリア内のほかの企業と「まちづくり(まちの再生)」について話す機会も増えたと言います。近くでは、2022年に旧本社をホテルにリノベーションした任天堂の例も。同社がエリアのまちづくりに乗り出しているという話題もありました。私たちはもともと、プロジェクト立ち上げの際、地域全体の「エリアリノベーション」という視点も描いていて、「企業だけでなく地元の多くの方を巻き込んで生まれたUNKNOWNが、このエリアの再生のきっかけになっているのは嬉しい」と、エンジョイワークス代表の福田も話します。さまざまな意見やアイデアが「混ざりあう」楽しさやおもしろさ・発見が、このプロジェクトの一番の収穫かもしれません。
運営も4年目の2023年に通年黒字を達成して、施設内では利用者の要望に応えて細かな改善を加えながら、多くの人を呼び込んでいます。ファンド自体も、今年の12月末に運用期間を終了し、出資者に償還となる運びです。このタイミングで、施設運営をさらにバージョンアップさせるための後継ファンドも立ち上げます。
これから5年、新たなステージへ。みなさんの応援をもとに、さらに大きく・温かく、UNKNOWNという「場」を育てていきたいと思います。
当時の担当者、落海達也さん(sono)とエンジョイワークス福田の共創対談動画
*UNKNOWN KYOTOのプロジェクトのはじまりについてのトークは3分20秒くらいから
☆11月30日(土)、5周年感謝祭開催します!☆
夢中で駆け抜けてきた5年、その間にあったアレコレや関わった人・私たちのコト・いろいろお話しつつ…5歳のお誕生日をお祝いするイベントです。会場はもちろんUNKNOWN KYOTO(1階)。16時からトークイベント、18時から5周年パーティを企画しています(軽食を用意しています。ドリンクはキャッシュオンでお願いします)。詳細のお問い合わせはUNKNOWN KYOTOのウェブサイトまで。