近年、自治体の課題解決に「官民連携」というキーワードを耳にするようになりました。文字通り、国や自治体の「官」と企業や団体の「民」が連携して行政サービスに取り組むこと。「公共施設や公共サービスの運営を指定管理制度で民間に委託する」「官民による都市空間の形成、エリアの特性を活かした機能の集積」といった連携が例にあげられます。今まで「官」が担うとされてきた分野を、「民」の得意な部分で補いながら手を携えていこうということ。行政のコスト削減や効率化のほか、民間事業者のノウハウを活かせる・ビジネスの機会が増える・市民サービスの維持や向上につながる…などのメリットがあります。
その背景には、自治体の財政難と人的資源不足、過疎化や高齢化による地域の経済力(経済圏)の縮小という現状があります。多様化する地域課題やニーズに、民間のノウハウを必要とする自治体が増えています。そこで生まれる「官民連携」をPPP(Public Private Partnership/官と民間のパートナシップ)や、PFI(Private Finance Initiative /民間資本による主導)と言いますが、私たち、エンジョイワークスは、国土交通省が制定する「PPP協定パートナー」に任命されています。これは、官民連携の実績やノウハウがある民間事業者が、地方公共団体職員・地元企業向けにセミナーや個別相談を実施したり、データベースを提供したりする仕組み。私たちはその中で、「個別相談パートナー」として、国交省の審査を経て2019年から継続して任されています。空き家・空き物件再生など住宅分野や公共施設のマネジメントを中心に、全国の自治体から相談を受けてきました。
国土交通省の「PPP協定パートナー」紹介ページ
https://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/kanminrenkei/content/001739036.pdf
館林市で新たな「官民連携」がスタート!
つまり、PPP協定パートナーは官民連携に関する相談の「受け皿」という立ち位置。この仕組みを使って連絡を受けた自治体のひとつが、群馬県の館林市です。関東地方のほぼ中央にあり、人口約73,000人。市内の大部分を平地が占める農業の町です。相談内容は、歴史的価値のある旧市庁舎など公的不動産や民有施設の活用、住宅や商業施設の郊外化による「まちなか」の人口減少、公共施設の維持管理コストの増大といった悩みでした。民間事業者による物件のリノベーション再生の事例も生まれていますが、エリアとしての連携体制が構築されておらず、ポツポツと芽生えた点を面につなげられていないという課題も抱えています。
私たちがこれまで培ってきたノウハウを、このまちでどのように活かせるのか――。市有施設の再生活用例(鎌倉市の旧村上邸)や他自治体での取り組み(事業者育成型公募)などを紹介しました。そこからのコミュニケーションで、館林駅東口周辺を拠点に、現状の課題分析からまちなかの回遊性やにぎわい創出の取り組みを「点」から「線」、「線」から「面」へ広げる“ミッション”を進めていくことになりました。市と地元の民間事業者や団体などが参画する「エリアプラットフォーム」の構築のほか、まちの将来イメージを共有しながら、官民連携で取り組む「未来ビジョン」の策定などに着手していく予定です。
「地域独自の課題を発見し解決する」「官民にかかわらず、まちの空間資源を使いこなす」「人間中心の視点で居心地よい環境をつくる」――。国交省は「官民連携まちづくり」のキーワード3つを、このように示しています。この視点に地域の資産やポテンシャルをどう絡めていくのか。館林市での取り組みは、全国で「官民連携×まちづくり」に関わってきた私たちエンジョイワークスの新たな挑戦。PPP協定パートナーとして、これまで積み上げてきた「参加型」のノウハウを活かしてまちづくりに併走していきます。
自治体との事業者育成型公募事業
https://enjoyworks.jp/times/041/
エンジョイワークスの「仕事」が分かる視察ツアー
https://enjoyworks.jp/times/020/
https://enjoyworks.jp/news/25481/
*自治体からの視察も受け付けています
市保有の邸宅を利活用した、鎌倉市との官民連携のケース
https://enjoyworks.jp/times/012/
国土交通省「PPP/PFI」ホームページ
https://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/kanminrenkei/index.html
先進事例研究と官民連携のノウハウを学ぼう!
エンジョイワークスが事務局となって運営している一般社団法人 地域未来創造大学校 次世代まちづくりスクールでは、「公的不動産と遊休民間不動産をまちづくりに活かす」をテーマにした自治体向けの連続特別講座を企画しています。開講日は7月11日(木)で、全6回。同スクールの中島満香教授(国交省PPP協定パートナー<セミナータイプ>)を講師に、活用事例などの座学やワークショップのほか、事業アイデア検討まで実践するプログラムです。
詳細、申込はこちら
https://hello-renovation.jp/machi-school/news_detail/200