国内の不動産事情で、空き家が多くなっているというのは周知のとおり。日本各地で空き家の再生や活用の事例が増えていますが、わたしたちエンジョイワークスは使われていない「空き蔵」にも注目しています。コンパクトながら、室内環境性能に優れ、大切なものを守ってきた「蔵」を活用しない手はない!との思いで、2018年にスタートさせたのが、「泊まれる蔵」。第一弾は神奈川県葉山町の「The Bath & Bed Hayama」でした。これに続いて昨年、長野県の小布施と佐久穂、富山県の立山と、その土地ならではの「蔵ステイ」が誕生しています。
「うちの蔵も再生してほしい」「使い道を考えてほしい」。そんな相談も舞い込むようになり、そこで掲げた「泊まれる蔵を全国に100棟作ろう」という計画。これまで、私たちが手掛けてきた「蔵再生」のスキームを全国各地の事業者さんと展開させていく試みで、いま、その5棟目として進んでいるのが、愛媛県松山市の道後。「坊ちゃん」で有名な道後温泉の近くにある蔵です。こちらを例に、活用が決まってから、どのようなプロセスで「宿泊施設」に生まれ変わっていったのか、現地での様子を含めてレポートします。
道後だけに…蔵にも温泉!「泊まる」だけじゃない楽しみ方
この蔵の再生が決まったのは、2023年のはじめごろ。住居に隣接する倉庫として使われていたもので、住居の平屋と蔵の両方とも賃貸物件でした。そこで現地の事業者(今回は株式会社Bluetooth)がこれを再生したい!蔵があるならなおさら!と手をあげたのです。蔵の屋根の一番高いところにある「棟木(むねぎ)」に書かれていた上棟日は「大正3年4月5日」(西暦でいうと1914年)なので、なんと築110年。そんな建物の再生なんて、ワクワクしますよね。
リノベーションの第一歩として、まずは蔵に残された家財道具(金庫や戸棚、火鉢)など、「使えるもの」をイメージしながら、室内をまっさらな状態に。「The Bath & Bed」の名の通り、共通コンセプトは「大きな浴室とベッド」のみの空間で、間取りや配置のレイアウト関連はエンジョイワークスの設計士が担当し、施工は現地の工務店と連携して進めていきました。室内のコーディネートはこれまでの4棟と同様にインテリアデザイナーの石井佳苗さんに依頼。今回は、「ハイカラモダン」がテーマで、蔵にあった箪笥をリメイクして洗面台にしたり、ベッドスペースは窓からの景色を眺められるよう小上がりにしたり。前出の棟木や構造もそのままなので、山小屋のような雰囲気も。壁に飾られているアートは、葉山町在住の画家、門田千明さんの作品。瀬戸内の海をイメージして描いてもらいました。調度品の色味やデザインは石井さんが一品一品選んだものです。「蔵という特別な場所で特別な時間を過ごしてほしい」。そんな思いを細部まで形にしています。
「The Bath & Bed」の大きな浴槽には、道後という土地柄もあって、天然温泉を引いています。この蔵の現地運営者、株式会社Bluetoothの橘洋二さんは(隣の平屋をリノベーションした宿泊施設と合わせて)「スイーツや食の体験メニューも提供していきたい」とのこと。「蔵に泊まる」という貴重な体験と地域の素材を掛け合わせた観光周遊は、魅力あるコンテンツになるはずです。ほかの例では、2023年冬に開業した小布施(長野県)の「The Bath & Bed Obuse」は、果物農園にある蔵。インバウンドの旅行客も多く、季節により、収穫体験も企画しているとか。「The Bath & Bed」の共通のブランディングを守りながら、その地域にある“素材”や“資源”の活用も大切にしています。
現地での実際のスタイリング作業は、おおよそ1日。古いのに新しい。そんな居心地のいい空間が出来上がりました。リノベーションの工事期間は約3カ月。どの蔵もおおむねこれくらいの工期となります。具体的に動き出してから1年弱で開業といったところでしょうか。もう一つ、特筆すべき特徴は、私たちが宿泊施設運営のノウハウも持っているということ。予約に関するフローなどの運営方法は、関係会社であるGoodNeighbers(グッドネイバーズ)が提供しています。蔵の再生からリノベーション、運営までワンストップで対応。「空き蔵を活用した宿泊施設運営」という新たなフォーマットが生まれています。
では、蔵再生の資金はどうしているのか?というと、これまでの4例と同様にエンジョイワークスの共感投資ファンド「ハロー! RENOVATION」を活用しています。投資していただいた方には、「利回り」だけでなく、宿泊などのリターンを提供する仕組みで、再生と利活用のためのエンジンとなります。このように、資金調達からリノベーション、施設の付加価値創出、開業、そして宿泊時のオペレーションまで、現地の運営事業者と相談しながら作り上げていくのです。
「道後の蔵」の次は、栃木県鹿沼市のプロジェクトが控えています。さらに、新潟や明石、井波、寺泊、下関、紀の川、越前…と全国各地から声が掛かっています。すべての蔵に対応できるわけではありませんが、エンジョイワークス事業部の担当者は、「うちの蔵はどうだろう…という相談も歓迎です」と話します。これからも空き蔵を再生させながら、現地で宿泊施設を作りたい事業者とのマッチングを進めていきます。
100棟あれば100通り、「ここだけ」の特別感。私たちは「蔵ステイ」がもっともっと、全国に広がっていくよう、日々、活動を続けます。
The Bath & Bed Teamホームページ
https://bathandbed.team/
The Bath & Bed 100棟ファンド
道後と鹿沼の使われていない蔵を一棟貸しのホテルに再生
リスクを含むファンド紹介はこちら
https://hello-renovation.jp/renovations/21654
※出資⾦から、年額最⼤3.3%(税込)の管理報酬、ファンドによりアップフロントフィー(初年度定額)、その他銀⾏⼿数料等をご負担頂きます。
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不動産特定共同事業者[金融庁長官・国土交通大臣 第114号]
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