ヴィレッジ(village)という言葉をそのまま訳すと、「town」より小さなもの、村や集落という意味です。ここから派生して、現代では「共同住宅」「集合住宅」という概念で使われることもあるようです。そのvillageを「小さなコミュニティ」と解釈したエンジョイワークスの宅地分譲プロジェクトが「ENJOY VILLAGE(エンジョイヴィレッジ)」。
不動産事業者による街の開発というと、広い敷地に線を引いて、一戸ずつ区切って建て売りもしくは、土地を売るというパターンが多いもの。そんな「区画」という線引きをもっと緩くして、自分たちの住環境を作っていくのが「エンジョイヴィレッジ」の考え。連続した敷地の一部は「お隣さん」とシェア。住居の間に大きなシンボルツリーがあったり、共用の庭では子どもたちがのびのびと遊んでいたり。緑が見えて、お互いの庭の景色を借りる。隣に面した窓の位置や開けていい場所といった「マスタープラン」を作っているので、プライバシーもしっかり守られています。
お隣さん付き合いが希薄になっていると言われる昨今。確かに、昔のように鍋や食材を貸し借りする時代ではないかもしれません。だからと言って、物理的にも・心理的にも、線を引くのは、味気ないもの。とは言っても「一緒にコミュニティを作ろう」と意気込むのも難しく、緩やかに繋がる関係性…そんな視点を共有することができれば。
私たちがこの事業を始めたのは2014年秋。第1号のプロジェクトは神奈川県・葉山町の「茅木山ヴィレッジ」でした。きっかけとなったのは、代表・福田のサーフボード。「お隣さん」を気にかけて置き場所に困っていたところ、場所の「共有」というアイデアに至ったのです。湘南エリアにある「ヴィレッジ」は多種多様で、複数ある住居の真ん中に共有デッキがあったり、高低差のある変形の敷地に緑と住居をうまく配置させたり。個人の土地では実現しない風景・借景、緑の多い住環境を作り出すことも可能。開発しづらく放置されていた不整形の土地でも、こうした「ヴィレッジ」の形にすることで、お隣さんとのコミュニケーションを生む仕掛けになるのです。
湘南・鎌倉で始まった「ヴィレッジ」。この地域で手掛けたプロジェクトは約10年でヴィレッジ数14、総棟数87件。3棟の真ん中に庭のある「中庭ヴィレッジ」、共用部分にサウナがある「サウナ小屋ヴィレッジ」、もともとの土地にあった果樹を残した「果樹園ヴィレッジ」とネーミングもさまざま。いま、この考え方が全国に広がっており、各地域の不動産会社や施工会社からも注目され始めています。ヴィレッジの小さなコミュニティが各地にポツポツと出現して広がり、街を変化させていく。それぞれの土地、人々に寄り添いながら、ヴィレッジ自体も育っていくのです。
ENJOY VILLAGE(エンジョイヴィレッジ)
https://enjoy-village.com/