北海道函館市の西部地区にある伝統的建造物、旧守屋住宅を再生する「函館・歴史的建造物の継承ファンド」プロジェクトでリノベーションした物件「aremokoremo(あれもこれも)」が、2024年のグッドデザイン賞を受賞しました。同プロジェクトは「函館でチャレンジ。伝統建造物を小商いで未来につなぐ」をテーマに、コンセプト設定や資金調達計画などを、エンジョイワークスの事業企画部が地元事業者と共に進めてきたものです。建物のリノベーションでは、既存の和室の間取りを生かして、小分けのブースと通り土間を設けており、商店街のように出店者同士の顔が見え、つながりが生まれる「仕掛け」を工夫しました。また、改装開業前からワークショップやイベントを積極的に開催。出店予定者や地域住民による塗装工事体験などを通したコミュニティーの構築にも力を入れています。
全11区画のシェア型複合施設として2023年6月から稼働しており、現在はクラフトビールや小料理屋、美容院、花屋、レコード屋が入居し、小さな商店街のように支えあいながら小商いを行える場に育てています。
【デザインのポイント】
・小商いの新たな形、出店者から広がるコミュニティーをコンセプトとした「シェア型複合施設」
・外部からの延長線上に「通り土間」を通すことで、生まれる商店街のような空間デザイン
・「持続可能な社会」への試みとして既存建物の建具を利用した「サスティナブルかつ記憶を継承するデザイン」
プロデューサー/株式会社エンジョイワークス 彼末茂樹
ディレクター/ニシダデザイン 西田陽一
デザイナー/ニシダデザイン 西田陽一、イオリハウスデザイン 中澤夏樹、サンプルクリエイション 山本雄大
(敬称略)
【審査委員による評価コメント】
古い建物をリノベーションしてシェア型複合施設にしたプロジェクトだ。それ自体に新しさがあるわけではないが、出店者が建物の企画段階から関わり、コミュニティーを広げて施設を作っていったというところが特に評価された。開業前からイベント等で出展者と地域との関わりを作り、施設もDIYできるところは一緒に作っていくという丁寧なステップを踏むことで、開業時にはすでに出展者同士の協力関係や地域とのつながりができているということだが、人口もそこまで多くない地域において地域を活性化していくには、非常に大切な取り組みだと考える。
□物件概要
函館市末広町14番4号 aremokoremo
□施設Instagram
https://www.instagram.com/aremokoremo_hakodate/
□函館・歴史的建造物の継承ファンド
函館でチャレンジ。伝統建造物を小商いで未来につなぐ
https://hello-renovation.jp/renovations/13501
2024グッドデザイン賞 受賞ギャラリー
https://www.g-mark.org/gallery/winners/23843?companies=30a3246e-b27a-437d-90f7-96901746ec8c&years=2024
*グッドデザイン賞は、1957年に日本で創設されたデザイン評価制度で、「Gマーク」として知られています。日本デザイン振興会が主催し、製品、建築、ソフトウェア、サービスなど多岐にわたる分野の優れたデザインを評価。毎年の審査を通じ、「デザイン」を通した産業・生活・社会の質向上を目指しています。
*受賞企業は、合同会社シルバークリークパートナーズ /ニシダデザイン/株式会社エンジョイワークスの三社です