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持続可能な島づくりとは? 宮古島で実践、価値を作り出す地域ボトムアップの形

Feature Project 公開日:2024.09.17

温暖な南の島、眺望の良さと開放感、食や歴史など独自の文化――。最近、ますます人気の沖縄。観光は重要な産業ですが、こうしたリゾート観光地が抱える「表裏一体」の課題が大規模な開発。サンゴ礁やウミガメの産卵地といった生態系への影響など、自然環境の保全や維持といった懸念もあります。オーバーツーリズム(観光客の集中)による廃棄物の増大、生活排水による水質汚濁など、地域住民への影響も問題に。また、島外からの投資が活発化する中で、観光収入の大部分が島外に流出し、地元に還元されていないという構図も見え隠れします。もちろん、その地元も手をこまねいているわけではありません。沖縄県も「サスティナブルツーリズム」という視点で取り組みを展開しています。

私たちエンジョイワークスの運営する「ハロー! RENOVATION」では2022年から沖縄・宮古島で、いくつかのプロジェクトを展開しています。プロジェクトリーダーの永野健太さんは宮城県仙台市に拠点のある不動産事業者「ユカリエ」の代表。この島との縁は、離島をつなぐ伊良部大橋の開通と下地島空港の整備でより注目度が増していた2017年に、不動産事業に誘われて島を訪れたのが始まりだったとか。地元の方と酒を酌み交わしながら「慣れ親しんだ自然がなくなっていき、今まで自分たちが大好きだった島の姿が変わってしまうのではないかという不安が募っている」という声を聞いたのです。観光地としての発展の仕方は必ずしも、島の人にとって喜ばしいことばかりではなく、「持続可能性が問われている」と。そこで、島民も観光客もみんなが喜ぶ観光地をどうすれば作れるか?を追い求めて活動を始めたのです。

宮古島から伊良部島をつなぐ全長約3.5kmの「伊良部大橋」。非日常感に没入する「入口」でもある一方、観光事業と住民との共存という新たな課題も

永野さんたちが最初に着手したのが、宮古列島の島のひとつ、伊良部島でのカフェ運営。2021年夏にオープンした「國仲商店」は国仲という集落にある約2,000坪の敷地を借り受けて開業したもの。島の人たちにも日常的に使ってもらって、観光客にもこの島の気持ち良さを存分に感じてもらえる場所をつくりたい。そんな思いを込めた場所だと言います。この島では、カフェにも関連して、コーヒー豆栽培にも取り組んでいます。もともと、この島の基幹産業はサトウキビ栽培だったのですが、高齢化や離農、収益性の低さなどの課題を抱えていました。コーヒー豆の栽培は、温暖化の折、沖縄でも増えているという現状も。地元農家の収入増だけでなく、新しい産業を作り出すことも「持続可能」な視点です。

島民とのコミュニケーションを丁寧に重ねてきた永野さん(左写真の左側)、右写真は現地でのコーヒー栽培の様子

その次に進めているのが、空き家をリノベーションした宿泊施設の創出です。新築のリゾートホテルが次から次へと計画される一方で、市街地に増加する空き家――。「これをリノベーションして、宿泊施設として蘇らせることができれば、まちの原風景が守られると同時に、地元のコミュニティ形成の場としても機能することができる」。そうして生まれたのが、空き家をリノベーションした宿泊施設「Hotel Yah」。Yah(ヤー)とは、島の言葉で「家」という意味です。これまでたくさんの人たちが住み、集う場所であったところを守りながら、新しい価値を生み出す。2022年にスタートした宿泊事業は宮古島で3棟(yomo・zaya・tonari)。これも「持続可能な島」の循環の一歩です。

「沖縄らしい」造りの建物を一棟貸し宿泊施設に。ホテルでは味わえない“地元感”が好評だという

キーワードは「島と島の人を感じる」

永野さんはこう語ります。「宮古島に通うようになって気付いたのは、この島にはまだまだ『良い宿』が不足しているということ。その定義は人それぞれだと思いますが、僕が個人的に思うのは‟また、ここに帰って来たい”と思えるか否か。ラグジュアリーホテルかビジネスホテルかの2択ではなく、宮古島ならではのゆっくりとした時間の流れを感じられる、肩ひじを張らない居心地の良い空間。これを探したけど、見つからない。無いのであれば、自分たちで作ろう!そう思って始めたのがこの事業なのです」

それぞれの宿には“サブタイトル”があります。「島民と共につくる、おばぁの宿」「島民と共につくる、島で暮らすような宿」。そしてこの夏、宮古島の北西部にある伊良部島で新たにスタートしたプロジェクト第3弾が「伊良部島の自然と過ごす、島の庭を感じる宿」です。ここは何もない「空き地」。新築2階建て、島や海とのつながりを感じる、豊かな空間に。「南の島で、時間の流れをゆったり感じてほしい」――そんな思いを形にしています。

「島の庭を感じる宿」のプロジェクトパース。「自然と過ごす」がキーワード

プロジェクト事業者「ユカリエ」のウェブサイト
https://www.yukarie.co.jp/service/localproduce/project01/

これらの事業の資金調達では、エンジョイワークスの「ハロー! RENOVATION」を使っています。事業への応援や共感という「投資」で資金を循環させる。それも「持続可能」な事業展開のひとつの手段。今後も、地元を巻き込んだ新たな事業の計画があるそう。私たちは、ファンドのスキーム提供に留まらず、このプロジェクトに併走しながら、島の将来像を「みんなで一緒に」描いていきたいと思っています。

【宮古島・持続可能な島づくりファンド3号】
伊良部島の自然と過ごす、島の庭を感じる宿
リスクを含むファンドの詳細はこちら
https://hello-renovation.jp/renovations/24137

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