誰しも、ライフステージによって、一緒に住む人や住まいそのものが変化していきます。生まれてから(亡くなるまで)同じ家で過ごす……ということは、現代ではあまりないかもしれません。進学や就職で一人暮らしをする、(結婚などで)家族が増えて家を買う、子どもが独立して空き部屋が多くなって住み替えする――。そこで、その時の自分に合ったサイズ・機能のある住まいに出会えればいいのですが、いま課題になっているのが「高齢者の住居」。ある調査によると、住み替えを考えていても、60歳を超えると賃貸の審査に通りにくくなっていくそうで、健康面および金銭面の不安から(大家さんに)敬遠されるケースが少なくないとか。住居型有料老人ホームやサービス付き高齢者住宅、シニア向け分譲マンション…など高齢者専用の住まいも増えていますが、いまの居住地のコミュニティから離れることに不安があったり、それなりに費用もかかったりするため、「住み替え」のハードルは高くなっています。
そうはいっても、高齢化が進む中で「受け皿」がないまま…とはいきません。現状に対応するため、2017年に国が開始したのが「住宅セーフティネット制度」。高齢者や障害者、子育て世帯等、住宅の確保に配慮を要する人(住宅確保要配慮者)の入居を拒まない賃貸住宅を登録し、住宅改修の支援や入居者の負担を軽減するための支援です。さらに、単身高齢世帯等の増加への対応として、2024年5月に行われた制度改正では、賃貸住宅の供給の促進及びその居住の安定確保を強化しています。具体的には、単身高齢者らが賃貸住宅に入居しやすいよう、見守り機能が付いた「居住サポート住宅」を創設。登録住宅の改修と入居者の負担軽減の両方を国が支援するものです。
さまざまな角度で「不動産」に関わっている私たちも、「高齢化と住まい」に無関心でいることはできず、新たな取り組みを始めています。「シニアが安心して暮らせるサービス」を提供する、いわゆる“高齢者の御用聞き”の事業を展開しているMIKAWAYA21(代表:青木慶哉氏)とのプロジェクトを先ごろ、スタートさせました。それが、同社が国土交通省の「人生100年時代を支える住まい環境整備モデル事業」で採択された『まごころアパート』。シニア支援スタッフ居住拠点を整備したコミュニティ機能付設型の賃貸アパートの開発です。
国土交通省「人生100年時代を支える住まい環境整備モデル事業」特設ウェブサイト
http://100nen-sw.jp/
これは、同社が積み重ねてきた地域での包括的「みまもりあいネットワーク」を、国の「居住サポート住宅」制度に対応させたもの。最先端のIoTを活用した見守りサービスも導入予定で、さらに、「ジーバーFOOD」という食に関わる高齢者の「お仕事」の提供も検討中とのこと。さまざまな業種と連携して、高齢者の「暮らし」をサポートしていくプロジェクトです。具体的な物件の開発が横浜市内で進んでいるのですが、私たちはこれの拡大展開として「まごころヴィレッジ」「まごころリノベアパート」の計画を進めていく予定です。
高齢者の住まいにまつわる課題(独居やダウンサイジング)は、今後も増えていくでしょう。一方で、空き家の増加が止まらない中で、高齢者への賃貸に不動産事業者(大家さん)が二の足を踏んでいる――そんなアンバランスな状況もあります。住宅ストックの活用と高齢者の暮らし良い住まい…そんな両方を兼ね揃えているのが「まごころアパート」なのです。“普通の”シニアの方々が、住み慣れた住環境を大きく変えずに、安心して住み続けられる――。横浜での事例を皮切りに、住宅地での「小さな拠点」型の安心居住環境整備のモデルの開発、さらにはその全国展開に「みんな」で、併走していきます。
「まごころアパート」キックオフイベントの様子
https://magocoro.me/corp/topics/20240805-2614/
キックオフイベントに関するリリース
https://enjoyworks.jp/news/26782/