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谷戸の空き家や遊休不動産―地域課題解決に機動力とアイデアをフル稼働!/自治体共創CASE⑥横須賀市…vol.2

Column 公開日:2024.05.14

東京の都心部から南に1時間、「三浦半島」の大部分を占める人口37万人の横須賀市で、いくつかの大きなプロジェクトを進めている私たち。空き家や遊休不動産、公共施設の維持、人口流出…などの「地域課題の解決」というテーマに対して、民間事業者の私たちができることとは?今まで、全国各地で積み上げてきた物件再生や共感投資の仕組み、リノベーション、施設運営のノウハウを活用した取り組みがスタートしています(全2回の記事の2回目)*第1回の記事はこちら

今年の4月1日、横須賀市の南部、野比海岸に開業した「#ジハングン ヨコスカ」。海岸の遊歩道に自動販売機を模したオブジェや大型ブランコ、「ヨコスカ」の箱文字などを設置し、フォトスポットとして誘客するコンテンツです。隣接する市の駐車場は、もともと週末や夏期限定で、それ以外の時期は空き地のような状態。そもそも、数十年前は海水浴で賑わっていたのですが、今は砂浜がほとんどないので、マリンレジャーに訪れる人もいません。これは波や風の影響で砂浜が削られ、海岸線が護岸に迫った状態の「海岸浸食」が進んでいるため。海沿いの遊歩道を地元の人が行き来するくらいで、以前の駐車場指定管理事業者も赤字に悩まされていたといいます。

#ジハングンはそんな「遊休不動産(駐車場)」を使うための仕掛け。写真を撮りに来る人に駐車場を利用してもらう――。これを発案した株式会社ブルースカイは、福岡の企業。お膝元の糸島エリアでこれを設置して、5年間で150万人の誘客を成功させています。全国展開の第一弾が、ここ横須賀という訳。同社と私たちエンジョイワークスが指定管理者となって駐車場と「#ジハングン ヨコスカ」を運営する事業スキームです。駐車場収入やファンドによる資金調達なので市が運営資金を捻出する必要はありません。「映えスポット」として、訪れる人が増えれば、観光誘客につながりますし、他の誘客スポットとの回遊にも期待ができます。実際に、今年の5月の連休は多くの人で賑わっていました。Instagramで「行ってみた!」という投稿も増えています。

散歩やランニング途中に、ペットを連れて…など「わざわざ」撮影に訪れる人も。海のあるロケーションの活用ヒントになるはず

横須賀市は、2013年に全国自治体の「転出超過」ランキングでワースト1位になった経緯があります(総務省「住民基本台帳人口移動報告」による統計)。新たに転入する住民と転出する住民の差し引きで、転出が多いということ。その「衝撃」から約10年。市では、移住施策を展開しながら、「音楽・スポーツ・エンターテインメント」のコンテンツによる交流人口の増加や観光誘客にも力を入れています。海と山に囲まれた環境で、自然や食など豊富な観光のコンテンツがあるので、来れば街の魅力が分かる。緩やかな連携(協調)のスポットとして機能し、賑わいの好循環に寄与する可能性を秘めているのが「#ジハングン」なのです。

そして、先ごろ公表したのが、かつて銀座にあった「中銀カプセルタワー」のカプセルを宿泊施設として開業するプロジェクト。そのステージは、横須賀市の西側、長井海の手公園ソレイユの丘。もともと、複数のカプセルを「ヴィレッジ(小さな村のような集まり)」の宿泊施設にしようという企画があり、横須賀市と相談しながら設置場所を決めたという経緯があります。メタボリズム建築の象徴と言われており、建築ファンならず目にした人に強烈な印象を与えた「カプセル」。この「泊まれるカプセル」プロジェクトは、歴史的建築物や文化施設に泊まる「ユニークベニュー」にも近いもの。今年の秋に開業予定で、注目度も上がっています。これを目的に国内外から「ソレイユ」に訪れる人が増えれば、横須賀(YOKOSUKA)の新しい印象を加えることにも繋がります。

惜しまれながら2022年に解体された「カプセルタワー」。カプセルヴィレッジ事業発表時(今年4月)は、メディアでも話題になりました

これらの事業の資金は、私たちが運営する不動産投資ファンド「ハロー! RENOVATION」で調達する予定です。3月にファンド募集を終了した#ジハングン ヨコスカでは、事業に関心のある全国の投資家のほか、全体の3割以上が横須賀の企業からの投資でした。「地元の賑わいを応援したい」。投資を通して、そんな思いを形にする場にもなっています。

なぜ資金の話をするのか。自治体が主体となって事業を進める場合、財源の話は避けて通れません。財政的な負担を最小限に抑えるためにも、事業運営(企画)と資金調達は民間企業に、管理監督は自治体に。そんな連携もこれからさらに柔軟に広がっていくのではないでしょうか。

民間企業が自治体の課題を巻き取る「手段」はさまざまで、これが「正解」というものはありません。それでも、アイデアを広げてチャレンジしていかないと、現状を打破することはできません。横須賀での3つのプロジェクトは、自治体と連携する一つの例であり、私たちにとっても新たな・実践的な取り組み。多くの人を巻き込みながら、この先にある、まちの賑わいを「みんなで」描いていきたいと思っています。

海に囲まれた「半島」のロケーションは首都圏でも唯一無二。ここに人を集める「仕掛け」を作っていきます

#ジハングンホームページ
https://jihangun.jp/
#ジハングンヨコスカ関連記事
https://enjoyworks.jp/times/029/ (株式会社ブルースカイ代表、貞末真吾さんインタビュー)
https://enjoyworks.jp/times/040/ (開業レポート)

「カプセルヴィレッジ」PRTIMESリリース
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000019.000061795.html

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(第1号、2号、3号、4号に掲げる事業を行う)
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