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【最新データ】全国の空き家は900万戸で増加の一途。このままだとどうなる?

New Topics 公開日:2024.05.07

総務省が5年おきに実施している「住宅・土地統計調査」。その速報結果が4月30日に公表されました。住宅と居住世帯の状況、世帯の保有する土地等の現状と推移を調査するもので、都道府県ごとの総住宅数、空き家数なども抽出されています。1948(昭和23)年から始まったもので、これは、昨年10月時点の最新データとなります。

ここで注目したい数字が2つ。国内の総住宅戸数と空き家の戸数。まず、総住宅戸数は6502万戸で、2018年と比べて4.2%(261万戸)増えています。一貫して増加が続いており、過去最多。もう少し詳しく数字を見ると、2013年は6063万戸で2018年は6241万戸の178万戸増なので、これと比べると直近5年間の増加幅が大きいことが分かります。ただ、総人口は2008年をピークに減少に転じているので、「人口減少ながら住宅が増加している」のです。一方で家族の構成人数は少なくなっていて2.37人(厚生労働省:2021年 国民生活基礎調査より)で、20代以降の若年非婚世帯と高齢単身世帯が増えています。総住宅戸数の増加には世帯数増という要因もあるほか、日本の「新築信仰」も影響していると言われています。とはいえ、人口減は避けられないので、数字を見てもアンバランスな状態はしばらく続くのです。

そしてもう一つが、空き家。900万戸で、2018年(849万戸)と比べて、51万戸の増加。こちらも過去最多でした。総住宅数に占める空き家の割合(空き家率)は13.8%。空き家数の推移では、1993年から2023年までの30年間で約2倍に。今では7.2戸に1戸が空き家という計算です。さらに、これを分類して「賃貸・売却に使う予定がある、もしくは別荘など二次的な利用があって普段は人がいない住宅」を除いた、いわゆる「その他の空き家」は385万戸。これも5年前(349万戸)と比べて、37万戸の増加。空き家になっても中古住宅として流通すればいいのですが、住み手が見つからないまま放置されている(その可能性のある)住宅が増えている…ということなのです。高齢の単身世帯の世帯主が亡くなり、相続人の負担が大きいためそのままになっているというケースも少なくありません。そんな「現状維持」が増え続けているのです。

グラフは「令和5年住宅・土地統計調査結果」(総務省統計局)より

空き家率を都道府県別にみると、和歌山県及び徳島県が21.2%と最も高くて、次いで山梨県が20.5%。5戸に1戸、つまり向こう三軒両隣に必ず空き家があるということになります。さらに「その他の空き家率」が高いのは、鹿児島県(13.6%)・高知県(12.9%)・愛媛県・徳島県(いずれも12.2%)・和歌山県(12.0%)…と、西日本に偏りがあります。東京都は2.6%、神奈川県が3.2%なのですが隣家との距離が近くトラブルが生まれやすいという現状も。喫緊の「課題感」に地域差も浮かび上がっています。

それでは、空き家が増えるとどうなるのか。管理されていない空き家は建物の劣化が進みやすく、倒壊の危険性も高まります。樹木の管理ができておらず、近隣住民が困っているケースも。さらにゴミの不法投棄や景観の悪化、悪臭・害虫など、地域の生活環境や防犯面の影響も指摘されています。

それでも「放置空き家」が減らないのは、固定資産税の減免措置があるからという理由も。更地にすると特例が適用されず、税負担が大きくなるので解体せず建物を残したほうが税制的に有利といわれています。解体費用を考えて「何もしない」ことが最善と考える人も。そんな状況もあり、管理が不十分とされる空き家は「特定空き家」として特例の対象から外すという法改正も昨年末にありました。現実的に、空き家が劇的に減ることはないのですが、かといって、手を打たないと空き家だらけ、廃墟だらけ…そんな町が生まれてしまうかもしれないのです。

自治体も手をこまねいている訳ではありません。空き家の実態調査に乗り出したり、活用や流通を促すための補助金や助成を設けたり、空き家バンクの開設や利活用のマッチングなどを行ったりしています。とはいえ、自治体だけが抱える問題ではないのです。空き家再生をビジネスとして展開している事業者も増えていますし、地域拠点や宿泊施設に転用して地域活性につなげる事例も多く生まれています。これらの多種多様な取り組みで空き家が大きく減る…ところまでは至っていませんが、「空き家」への意識が変われば、利活用の循環が生まれるはず。

全国で不動産、まちづくりに関わる私たちも、「地域×空き家」でできることを、もっともっと探っていきます。

全国各地で空き家に関する課題抽出のワークショップや空き家再生の人材育成、事業者育成型公募など、自治体とタッグを組んで展開しています

【エンジョイワークスの空き家再生取り組み例】

「事業者を育成する?」まちづくりのプレイヤーを育てる仕組みとは/自治体共創CASE⑤全国で展開、事業者育成型公募
https://enjoyworks.jp/times/041/
空き家再生をきっかけに町の賑わいを取り戻そう/自治体共創CASE④和歌山県紀の川市
https://enjoyworks.jp/times/031/
まちをもっと好きになる、静岡県・三島で進む物件活用事業支援のカタチ
https://enjoyworks.jp/times/027/
空き家再生のプロを育成して「マッチングの前と後」をサポート/自治体共創CASE③三重県南伊勢町
https://enjoyworks.jp/times/022/
空き家に悩む自治体・住民と「一緒に考える」/自治体共創CASE①和歌山県
https://enjoyworks.jp/times/004/
「みんなの実家」は国の登録有形文化財。葉山で特別な宿泊体験
https://enjoyworks.jp/times/001/

*記事中のデータの出典は「令和5年住宅・土地統計調査結果」(総務省統計局)

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(第1号、2号、3号、4号に掲げる事業を行う)
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